やっと訪れた春休み、何か新しいことを始めたいと思っている人も多いのではないだろうか。体を動かすことを始めたい、しかし走ったり筋トレをしたりするのはつらい。今回はそんなわがままを叶えるべく、茗荷谷のスタジオにて「SAMURAI WORKOUT」を体験した。
このエクササイズは、「侍」と名の付く通り刀を使う。剣舞の動きにエクササイズ用の型を取り入れた、全身を使った有酸素運動だ。創作日本舞踊孝藤流 二代目、創作剣舞橘一刀流 家元である主宰の孝藤右近さんが、日本の伝統文化に気軽に触れてもらえるように考案した。
剣舞は礼に始まり礼に終わる。一番初めに刀の持ち方と礼法を教わった。使用するのは安全かつ軽量なエクササイズ刀だ。右斜め下に刀を軽く振り下ろす「血振り」をして一礼し、鞘に納める。気が引き締まり、自然と背筋も伸びる。抜刀してトレーニング開始だ。
まずは刀を振りかぶった状態の「上段の構え」から、一気に振り下ろす「真向斬り」。音楽に合わせて数拍、スピードを上げてリズミカルに繰り返し、次の動きに移る。
このように「袈裟斬り」や「水平斬り」など、基本的な動きを学んでいく。体の動かし方だけでなく斬るべき敵の位置も教えてくれるのが楽しい。一見なんてことない動きだが、これが意外と難しいのだ。試験期間に凝り固まった体が悲鳴を上げてきた。
汗を流し体が水分を欲してきたころ、ようやく休憩が入った。ここまでおよそ15分。だいぶ消耗したが、まだ準備運動だ。さらに跳んだり太ももを上げたりといった複雑な動作が加わり、息も絶え絶えになってくる。最後は「蹲踞(そんきょ)」というしゃがんだ状態で、前進しながら刀を振り下ろしていった。もう全身がふらふらだ。
そして最初と同じように礼をし、トレーニングは終了した。ここまでついてくるのでさえ一杯一杯だったというのに、本来はさらに35分間のエクササイズが加わるそうだ。我々は体験ということで、前半の基本的な動きだけを教わった。
エクササイズを終えると、全身に効いていることがよくわかった。背筋を伸ばしたまま行うため姿勢がよくなる。日頃の運動不足と姿勢の悪さを痛感した。さらに、嫌な物事を頭の中で斬り倒す快感も得られる。
刀を使うメリットは妄想しながら行えることだと右近さんは言う。非日常の世界に入り込んで、楽しく運動ができる。今回体験した「SAMURAI WORKOUT」は女性限定のエクササイズだが、右近さんは外国人観光客向けに刀や着物などの日本文化の体験も展開していて、世界中から注目を集めている。
日本の伝統に触れながら、侍になりきった華麗な動きで全身トレーニングができる「SAMURAI WORKOUT」。新生活・新学期に向けて何か始めたい人は、候補のひとつに入れてみてはいかがだろうか。
(新山桃花)