「KEIO SDM “SPORTS X” Conference 2016」が先月11日、日吉キャンパス協生館で開催された。「スポーツ産業活性化」、「スポーツマネジメント人材育成」、「チームマネジメント強化」の3つをテーマに、様々な分野の専門家が講演やパネルディスカッションを行った。382人の来場者を迎え、盛況のうちに幕を閉じた。
このプログラムでは、食の分野からITの分野まで幅広い専門家が日本のスポーツ発展のために新たな視座を提供した。
「Think Ahead ~ジャパンハイパフォーマンスセンターにおける2020東京のレガシー~」のセッションでは、専修大学教授で元レスリング日本代表コーチを務めた、久木留毅氏が登壇した。開催まで4年を切った東京オリンピック、そしてその先のスポーツの世界に向けて、我々には何が出来るのか講演した。
久木留氏は、科学技術の発展がスポーツ界に大きな影響をもたらしていると述べる一方で、科学技術はあくまでも外部要素であるとした。真にスポーツが発展するには「競技力強化」が肝要だ。
「競技力強化」の大前提となるのが、アスリート・コーチ・環境の3要素である。この3要素を最高水準まで高めなければならない。優秀なアスリートを発掘し強化する。そして経験に富んだコーチを揃えた上で、IT技術や医学の知見を取り入れなければならないと指摘する。そのためには官民一体となってスポーツを支えていく必要があると述べた。
久木留氏は従来の精神論に基づいた指導では、スポーツの世界で成果を上げることが難しくなってきていると話した。その理由として「競争構造の変化」を挙げている。リオオリンピックでの競泳では、今年もたくさんの世界新記録が生まれた。同氏は、競技が進化し高度になっていることを理解した上で、アスリートは一歩先を見据えなければならないと語る。残された時間内で何が出来るのか考えなればいけない。