スウェーデンのウプサラ大学に交換留学で来てから5ヶ月が経った。色んな人から日本との違いを聞かれるが、私が感じた一番の違いは、学問に対する真摯な姿勢であり、「アカデミック」ということだ。
ウプサラ大学の人文系の分野では、基本的には一ヶ月に一科目を履修する。私が9月に取った「スウェーデン政治」という授業では、講義が月に6回、セミナーが2回だけだった。授業の初回で、「講義はあくまで補助的なものなので行く必要がない」と先生が宣言!あとは指定された課題本と文献を中心に読み進めてセミナーに備え、月末には4時間の試験を迎えて終了。翌月からまた違う科目がスタートする―。日本の大学ではあまりに多くの科目を並行して履修することもあり、あまり身にならないことも多いと感じる。一つの科目を短い期間に深く集中して学べる仕組みは、その点で効率的だと私は考えている。
また、12月に履修した「経済発展と紛争」という科目では、オムニバス形式で、通常の教授と博士課程の学生たちが授業を受け持った。スウェーデンの大学(主にヨーロッパの大学)では博士課程の学生にも給料を与えて授業を担当させるのが普通のこと。これには色々と批判もあるが、彼らを活用することで多くの授業を少人数で行うことができる。しかも年齢の近い博士課程の学生の研究に直接触れることができて、学部生にとっても刺激にもなる。ちなみに、教授よりも博士課程の学生の方が熱心ということは、よく聞かれることである。
就職活動についてスウェーデン人の友人に尋ねると、「基本的には学位をとり終わってから(卒業してから)始める」という。これも日本との大きな違いだろう。3年生になればリクナビか日経ナビに登録してスーツに身を包み、会社訪問……となるが、こっちではいわゆる「新卒採用」という枠自体が存在しない。各々の学生は大学を通じたインターンシップ紹介や個々人のコネで仕事を見つける。
そもそも大学が「生涯教育の場」としても位置づけられているため、大学生のうち25歳までに入学する人の割合は44%。学生の多くは社会人経験者だ。ある程度目的意識がはっきりしていることもあり、それなりに勉学に熱心である。大学の雰囲気が「ザ・アカデミック」になりやすいのも頷ける。ただひとつ、日本と異なり残念なのは、サークルのような小集団がなくて、「若者っぽさ」がないところだろうか。
(小串聡彦)