早大第1戦、慶大は息詰まる投手戦を3-1で制し、5季ぶりの早慶戦での勝ち点獲得に向け弾みを付けた。

先週、明大が立大から勝ち点を獲得。その瞬間、慶大は悲願の優勝を逃した。それでも慶大には絶対に負けられない伝統の一戦が残されている。大久保監督就任後、初となる早慶戦勝ち点獲得へ慶大は広島東洋カープから1位指名を受けた加藤拓(政4)が先発のマウンドに上がる。

慶大は1回先頭の沓掛(商4)が敵失で出塁し無死2塁とすると、倉田(法3)が犠打で送り、ここまで秋季リーグ首位打者の山本瑛(商4)がレフトへ適時打を放ち1点を先制する。

加藤は初回から制球を乱しながらも、3回までノーヒットピッチングの好投を見せる。4回には先頭打者に四球を許すも郡司(環1)が盗塁を阻止し、ピンチの芽を摘む。しかし内野安打でランナーを出し、牽制悪送球で2塁に進塁されると、センターへの適時打を浴び同点に追いつかれる。

慶大は先制後2つの併殺打でチャンスを潰すなど、早大の先発小島を前に6回まで2安打に抑え込まれる。しかし迎えた7回1死、打席には開幕から10試合連続スタメンマスクの郡司。内角のスライダーを巧くレフトへはじき返した打球は慶大外野応援席に吸い込まれ、3塁側応援席は今日一番の歓声に包まれる。流れを手繰り寄せた慶大、続く柳町(商1)はあわやホームランかという当たりの2塁打、加藤も安打を放ち一死1、3塁とチャンスを広げると照屋(環3)がセーフティースクイズを決め1点を追加。この回2点を奪い小島をマウンドから引きずり下ろし、試合を決めた。

加藤は現役最多となる25勝、また、リーグ史上16人目の通算300奪三振を達成。7個の四球を与え、ランナーを背負う場面もあったが自慢の速球で早大打線をねじ伏せた。加藤は「ドラフトはもう終わったこと。慶應の野球部として早慶戦で勝ち点を取るため、いつも通り勝つことだけを考えて試合に臨んだ」と語った。

今日も加藤を好リードするだけでなくバットでもチームの勝利に貢献した郡司は「早慶戦は小さい時から憧れていたので特別な想いで試合に臨んだ。加藤さんは時折コントロールを乱していたがピンチではしっかりギアをあげて抑えることができた。(勝ち越しの本塁打について)狙っていたわけではなかった。塁に出るために無我夢中で、勝ち越し打ということはベースを回っている途中で気づいた。早慶戦は特別な雰囲気で声援も大きく祭典のような雰囲気で楽しむことができた」と充実した表情を浮かべていた。

手に汗握る熱戦を終えた大久保監督は「今日は小島君との投手戦のなかで少ないチャンスを確実にモノにして、ほばミスなく試合を進められた締まったゲームだった」と疲れた表情にも今のチーム状況に満足している様子だった。

5季ぶりの早慶戦での勝ち点に向け慶大は最後の意地を見せる。

(世古宗大士・香西朋貴)