1月23日、慶應義塾大学CARLS哲学・文化人類学グループ公開シンポジウム「医療人類学の最前線Ⅱ」が三田キャンパス東館で開催された。
同シンポジウムのテーマは「国家・感染・バイオポリティクス」。様々な視点から感染症を研究する社会科学系の学者が集まり、研究成果が発表された。
第一部は、北米における医療人類学の第一人者であり、日本でも『脳死と臓器の医療人類学』などの著書で知られるマーガレット・ロック氏による基調講演。ロック氏は自身が専門にしている、遺伝学のような新たな学問が専門家に独占されがちであることの危険性を説いた。特に、出産前診断を例に挙げ、患者と専門家が率直にその欠点について話し合うことが求められると指摘した。
第二部では、社会学、歴史学、政治学の観点から、テーマに関して最新の研究が報告された。新型インフルエンザへの社会的対応や近代日本のはしか流行などを論題として、感染とリスク、国家防衛、疫学の問題について各分野の研究者から意見が述べられた。
各々の講演、報告の後には、質疑応答の時間が設けられ、聴衆から鋭い質問が発せられた。
同シンポジウムは、「遺伝、神託、バイオテクノロジー」をテーマとした「医療人類学の最前線Ⅰ」に引き続き、慶大グローバルCOEプログラムの一環として開かれた。