「サッカー×国際協力」を掲げ活動する学生団体、WorldFutが主催するチャリティフットサル大会が3月19日、相模原の会場で行われた。終始、和気あいあいとした雰囲気で試合が進んだ。

WorldFutは、2‌0‌0‌8年に法政大で生まれたインカレの学生団体だ。「幸せに溢れる世界を作るため、サッカーを通してすべての人にキラキラ笑って暮らすキッカケを提供する」を理念に、今回のような大会を年に2回開催している。収益金は、設立当初から現在まで継続的に行っている、カンボジアの子どもたちの「サッカー選手になりたい」という夢を応援するための活動の費用に充てている。

2‌0‌0‌9年に彼らが初めてカンボジアを訪れた時、そこにはサッカーの出来るグラウンドもボールもなかった。理念を達成するため、メンバーはまずスマオン村という最も貧しい地域に属する村の小学校を支援先に決め、1年目はサッカーボールを送ることから始めた。翌年、田畑だった土地にサッカー場を建設。子どもたちが安全にサッカーを楽しめる環境を整えた。その後はルールブックを届けるとともにルールを教えるなどWorldFut最大の特徴である、ハード面の支援にとどまらないソフト面の支援も行っている。「サッカーを出来るようにする前に、校舎が足りず学校に通えていない子どもたちが小学校にきちんと通えることが大前提である」と考え、老朽化した校舎を建て直し勉強出来る環境も整えた。現地での試合の開催も毎年欠かさずに行っている。

そして昨年、サッカーの試合を見たことのない子どもたちのために、パブリックビューイングを成功させた。WorldFut代表の朝倉悠さん(明大3年)は「サッカー選手になることが夢なのに、サッカーの試合を見たことがない子どもたちに試合を見せてあげたいと思った」と、その経緯を話した。

提供・WorldFut
提供・WorldFut
放映した試合はワールドカップで日本とカンボジアが対決したアジア2次予選。「当日は子どもだけではなく大人も足を運んできてくれ、約5‌0‌0人が集まった。それを見たとき、この村にもサッカーが根付いてきたのだなと感じて嬉しかった」と、8年間の活動の成果を話す。異国の地で生中継の映像を流すことは難しくハプニングも多かったが、子どもたちのキラキラした瞳が画面を真剣に見つめているのを見て、「やってよかったと思った」と語る。

WorldFutの夢は、「支援した子供達の中からプロサッカー選手を生むこと。そして、将来その人が村の憧れ、希望の星となり次の世代の原動力となること」である。今後も現地に寄り添ったソフト面での支援を続けていく。
(山本理恵子)

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