三田キャンパスと日吉キャンパスには、福澤研究センター設置の講座があるのをご存じだろうか。
慶應義塾福澤研究センターは、1983年に設立された。慶應義塾史や福澤諭吉とその門下生を切り口に近代日本研究を行い、シンポジウムやワークショップも開いている。現在は資料閲覧を休止しているが、慶應義塾150年資料集の編さんなど、義塾の今後を見据え長いスパンで活動している。
塾生向けの講座はセンター設置当初からあったわけではない。「昔は一般の講義の中でも福澤を取り上げることがあったが、現在は意識して設置しなければ学生に伝えていくことが難しくなっている」と福澤研究センター所長の米山光儀さんは言う。
日吉キャンパスには近代日本と福澤諭吉Ⅰ・Ⅱ、三田キャンパスには近代日本研究Ⅰ~Ⅳおよび大学院生対象の講座が設置されている。番号がついているものの、それぞれの講座は独立していて全て履修する必要はない。
日吉の講座には1年生が多く、文系だけでなく薬学部などの理系の学生も含めて100人近く履修している。オムニバス形式の講義で、塾長などのゲストスピーカーの話も聞ける。
三田の講座は演習的な要素もあり、講義を聞いた後に発表や議論の場を設けたものもある。少人数だが様々な学部生が履修しており、最終学年の学生も多い。
日吉も三田も講義内容の切り口は同じで、決して「福澤先生や慶應義塾をたたえよう」という内容ではない。「慶應義塾や福澤諭吉への関心が強くない、普通の学生にこそ受けてほしい」
講義の内容は「知っておくべきだ」ではなく「知っておいてもいいかな」。この講座を受けるメリットは、「自分が学んでいる環境を身近に感じ、そして発展していくような構えができる」と話した。
米山所長は、塾生に『福翁自伝』を読むことを勧める。「内容は難しくなく、面白い。それをきっかけに講座をとるといい」
今月5日(火)には、設置講座のガイダンスも行われる。新学期、福澤研究センター設置講座の履修を検討してみてはいかがだろうか。
(新山桃花)