2016年1月16日から放送となる日本テレビ系新土曜ドラマ「怪盗 山猫」。プロデューサーを務めるOBの福井雄太さんに話を伺った。
「ドラマには、多くの人が毎週同じ時間に同じものを見てくれるチャンスがある。時間の使い方が多種多様になっている今だからこそ、見たいと思わせる何かを作りたい」と語り始める。
福井さんがこの職に就いたのも、あるドラマに人生を突き動かされたからだという。高校時代、自分の感じていたやり場のないもどかしさ、気持ちを代弁してくれたという。今でもそんなドラマの力を信じている。
「ドラマを見た人が次の日の朝、家を出るとき、ドアの先の景色がちょっとだけ違って見えるようなものを作るようにしている。創作の世界は強大な力を与えられるものではないが、人の心の隙間に入る瞬間を作れる、得も知らない力がある」
「怪盗 山猫」は、神永学さん原作の「怪盗探偵山猫」シリーズの実写化である。「原作よりも面白くすること!」をドラマ化の条件に出した神永さんに対して、「原作者の言葉はプレッシャーと勇気をくれた」という。
1冊完結の原作と、10話にわたって物語を続けていくドラマは全くの別物になっている。
「違うところは違うけれども、同じところは同じ。原作のエッセンスを使って、1話1話にカタルシスをいれる。このことで面白くなるんです」
キャスティングに関しては、「主演は亀梨和也という男しか思いつかなかった。主人公を原作よりもファンキーかつ男らしく作るにあたって彼しかいないと思った」と、出演者への期待も垣間見えた。
「史上最高に視聴者がわくわくするドラマ」を今回のテーマに掲げているという福井さん。一筋縄のドラマではないから、これまで誰も見たことのない土曜9時になると意気込む。現在(取材時12月末)撮影の真っただ中で、忙しい日々を過ごしているそう。
撮影現場が好きで、役者さんへの演技指導をよくするという福井さんは周囲からも信頼が厚い。スタジオ内は、休憩のたびに出演者やスタッフが談笑をする和気あいあいとした雰囲気だ。「わくわくするドラマ」がこの場から生まれることを予期させる。
最後に後輩へのメッセージをお願いすると、「大学生活は様々なことを広げるタイミングだと思います。考え方や好き嫌い、楽しいことつまらないことなど…。だから型にはまらないことが大切ですね。広い枠で、自分はどのような人間なのかと考えてみてください。また、人とのつながりが増えるから、億劫にならずに外に出るのも大切ですよ」
(高橋奈都子)