「NEWS ZERO」 、「真相報道バンキシャ!」、そして現在の「news every.」 と約10年もの間報道という仕事に携わってきた。どんなにハードな仕事でも「辛さを何百倍も上回る楽しさがあるので、辞めたいとは本当に思わない。毎日新たな“気付き”があり、発見が楽しい仕事」だとその魅力を語った。
2003年に日本テレビに入社。「与えられた役割を全うしなければ」と走り続けていた中で子供を授かった。当時6年続けていた「NEWS ZERO」を卒業し、不安は無かったのかと問うと、「子供を自分の腕で抱きかかえた時、もう一度仕事をやりたくなるかも分からなかったので、その時になってから考えようと思っていた」と振り返る。
実際に育児がスタートしてみると、社会との繋がりを失った時間は息苦しく、孤独だと感じた。出産後、久々に家の外を散歩すると、それだけのことで世界はキラキラ輝いて見えたという。「外で見て感動したことがあると、子供にも、より楽しい話題を投げかけることができる。やはり外と繋がっていることは大切だなと改めて感じました」。
母として働く
周囲の協力を得て復帰を果たすと、自分にとっての「働く意味」が変わっていた。「目の前に育てるべき大切な命があると、『この子のために頑張らなきゃ』という気持ちになる。自身のためというよりも、子供たちの世代のために、大人として何が出来るのだろうという発想に変わりました」。
母になる前も、報道の仕事を通してもっと社会が良くなるためにはどうしたらいいのかと考え発信してきた。しかし、本当の意味で「社会のため」とはどういうことかわかっていなかったのだと知った。例えば国債の問題についても「小さな子供にまで国の借金を負わせている大人の無責任さを痛感しました」。子を持ってこそ感じる、より切実な思いがあったという。
「自分の身体の中で育まれた命が誕生するという経験が出来るのは、女性の特権だと思う。出産を自分のキャリアにとって障害だとネガティブに捉える人もいるけれど、その時間にしか感じることの出来ないものがある。それは大事にしなくてはと思います」と働く母親としての考えも明かした。
最後に講演会へ向けての意気込みをお願いすると、「12年仕事をしてきた中で、自分自身が大事だなと思ったこと、発見したことを伝えます。皆さんの未来を切り開くヒントになれば」。豊かな経験から紡がれる先輩の言葉は、塾生にも新しい〝気付き〟を与えてくれるだろう。(山本理恵子)