初の早慶戦は天覧試合 「神宮の独特の雰囲気に圧倒」
読売ジャイアンツで選手として18年目を迎え、今季からは一軍打撃コーチを兼任する高橋由伸氏。慶大野球部時代は1年生の春から主力として活躍し、三冠王獲得や、田淵幸一氏の持っていた本塁打記録を29年ぶりに更新するなど当時の六大学野球を代表する強打者だった。今月31日と来月1日に控える早慶戦を前に、野球部時代のエピソードや当時の早慶戦に対する想いを語ってもらった。
早大に闘志 「ここだけは勝ちたい」
六大学野球はプロになった今でも注目しているという高橋氏だが、なかでも由伸2世と名高い谷田(商4)、そしてキャプテンの横尾(総4)に関心を寄せる。シーズンオフに慶應のグラウンドで練習する傍ら、練習に励む選手達を見て今の大学生の意識の高さを感じるという。
ライバル早大との伝統の早慶戦は「ここだけは勝ちたい」と対戦前から闘志を燃やしていた。自身初の早慶戦は天覧試合かつ早稲田の優勝がかかる試合であったといい、「観客であふれ返り、揺れるような神宮の独特の雰囲気に圧倒された」と当時の様子を振り返る。
主将を経験 大学記録も
高校時代から注目されていたにも関わらず、プロ入りはせず慶大に進学。「自分にまだ自信が持てず、大学は自分に自信を持たせるための4年間だった」と胸の内を明かす。 2年先輩の高木大成氏がドラフト1位で西武に入団したことでプロへの意識が高まり、このままの選手で終わるのは嫌だと思い、より熱心に練習に打ち込んだ。努力が実を結び、3年春には三冠王、ベストナインを獲得する。
4年次には主将を経験した。「自分はチームを引っ張るタイプの選手ではないのでチームが一体感を持つことを心掛けた」
4年春の優勝がかかった早慶戦第2戦では、通算22本目の同点2ランホームランを放ちチームを優勝に導くなど、早慶戦での勝負強さをみせた。
1年春に3本塁打を記録し、当時の後藤監督からかけられた言葉は「1シーズンに3本ずつ打てば新記録になる」。監督の言葉通り、4年の秋季リーグでは通算23本目の本塁打を放ち、大学野球記録を打ち立てた。しかし、「記録を特別に意識することはなく、チームの勝利のためにやった結果」だという。慶大時代の仲間との絆は深く、今でも連絡を取り食事に行くなど交流が続いている。
「自分の力で 可能性広げて」
慶大時代に学んだことで今のプロ生活に活きていることは「自分で考えること」であるという。高校までとは異なり、大学では全体練習が少なく、限られた時間の中で効率よく練習する必要がある。
与えられた練習をただこなすだけでは自分のためにならない。自分の足りない部分を補う練習メニューを作り、取り組む姿勢はプロになった今でもつながっている。
最後に塾生に向けて、「大学時代は人生の中で最も自分のために時間を使えるとき。自分から行動し、自分の力で可能性を広げてほしい」と力強いメッセージを送ってくれた。
(世古宗大士)
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