先月27日に行われた第34回全日本心身統一合氣道競技大会の団体の部で体育会合氣道部が金賞を獲得し、十連覇を達成した。主将の小柴義文さん(経4)、副将の猪又拓真さん(総4)が、快挙に至るまでの思い、努力を語った。
「今は嬉しいというより、ホッとしている」と笑顔を見せたのは、小柴さんだ。慶應義塾普通部で合気道を始めた年から大学の連覇の歴史を全て見てきただけに、プレッシャーを感じていた。また、「慶應の流派である心身統一合氣道の大会は一年に一度だけ。主将としての成果が出るため、緊張感もあった」と話し、強い責任感をうかがわせた。猪又さんは「絶対に成し遂げなければならないという覚悟と、歴史に名を刻みたいという思いを持っていた」と語った。
試合が少ないと短期的な目標が立てにくい。また、一定の動きを繰り返す練習も多いことから、部員の向上心を保つのが難しい。しかし小柴さんはミーティングの回数を増やし、目標を明確にすることで乗り越えた。「その上でルーティンワークをこなすから意味がある」と考える。猪又さんは「動き一つひとつを常に見直し、改善に努めた」と語った。目的意識を口に出して伝えることも大切にする。また、団体の部は入場時点の動作から採点されるため、終始息を合わせることが必要になる。そのため、出場者が揃った状態で練習を長く行い、一体感を保った。意識に対する強いこだわりは、精神状態を重視する合気道の特性を象徴している。
実力や態度で示すのが主将の役割」と語る小柴さん。一方、猪又さんは副将の役割を「部員代表として部を盛り上げ、主将を支える」ことだと語る。
2人の最後の舞台は、今月18日に日吉で行われる早慶戦。意気込みを聞くと、小柴さんは「全員が笑って終われるようにしたい」と、一言に思いを込めた。猪又さんは「5年振りに慶應に勝利をもたらして部員生活を締めくくりたい」と、固い決意を見せた。
(成田沙季)