イギリスといえば紳士と皮肉屋、イタリアなら陽気で軟派…。私たちはニュースを観たり聞いたりしていくうちに、外国に対して様々なイメージを作り上げている。では、海外のメディアではどのように日本の姿が伝えられているのだろうか。
今回協力していただいたのは、Bloomberg Newsで日本・韓国編集局長を務めるアメリカ人のブライアン・ファウラーさんと、University World News特派員でスリランカ出身のスベンドリニ・カクチさんだ。日本のニュースを海外に発信する二人の眼に日本はどう映るか語ってもらった。
関心集めるアベノミクス
日本の印象として、ファウラーさんは「印象は良く、昔から信用できる友人という感覚がある。映画、料理、アニメなど魅力的の多い国だと思います。駐在員でも、文化に興味があって来たという人は多いですね」と話す。
カクチさんも、母国での日本の評価は高いという。「世界で3番目に経済規模が大きく、技術レベルも高い。安全・安心に歩けるし、国際間のルールも守っている、表面的には礼儀正しい印象です」。
ここ数年で中国に抜かされたものの、依然として日本は世界有数の経済大国の一つとして認識されている。「特にアベノミクスが一番注目されています。端末でも結構読まれますね。多くの外国人投資家がいい機会だと捉え、動向を気にかけています」とファウラーさん。国内で学生生活を送っていると気づきにくいが、経済界では、世界的にアベノミクスに寄せられる関心は大きい。
国際化 遅れに懸念
一方、当然ながらネガティブなイメージもある。ファウラーさんは、「やはり働き方に受け身なところがありますね。日本人の従業員も多いオフィスなのですが、静かなので海外から訪問してきた人に驚かれます。私自身、社員には普段からもっと自信をもって生きていけ、と言っているくらいです」と日本人の消極的な姿勢をあげた。
カクチさんは、特に国際化への対応の遅れが日本の大きな課題だという。「日本では、まず日本語ができなければ社会に入れない。また縦社会の人づきあいなど、日本人らしく生活しないと厳しいものがあります」。
また、高等教育機関について「正直、日本の大学は世界的にみて魅力的ではありません」と話す。「日本で仕事を得られるまで大学が面倒を見ないとなると、留学生も行きたがらない。また、留学生と日本の学生が交流する場も少ない。近年になってやっとスーパーグローバル大学の指定や9月入学の導入の計画などの改革を始めました。その点は世界も注目しています」ということだ。
まだ曖昧な日本らしさ
取材を通して印象的だったのは、「日本は自分のアイデンティティをまだ探している気がします。外国からどう見られるかを気にして、よく自国の位置づけがわかっていない」とのカクチさんの指摘だ。
今回見えた日本像はほんの一面にすぎない。自分たちはいったい何者なのか。それは誰かに教えてもらうことではなく、自ら体現していかなくてはいけないことなのかもしれない。
(阿久津花奈)