福澤育林友の会主催の講演会、第14回「森を愛する人々の集い」が先月13日に慶大三田キャンパスの北館ホールで開かれた。
講演会では、東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授の安藤直人氏が講師として登壇。「新しい森林(もり)と木の時代」をテーマに木の新たな利用方法や、森林との関わり方について語った。なお、安藤氏は昨年SFCで「フォレスト・プロダクツ論」を開講していた。
森林は日本の国土の約3分の2を占めている。森林率(国土面積における森林の割合)は世界第15位、先進国の中では第3位だ。しかし、このように多くの森林を有していながら、木材の国産の自給率は28%と、約7割を輸入林に頼っているのが現状だ。
安藤氏は、林業が3K(きつい・汚い・危険)と言われて敬遠されていることを背景のひとつとして指摘。また、「木材の供給と需要のズレによって、消費者や他産業のニーズに合った木材が手に入りにくい」と日本の林業が抱えている問題を提起した。
これからの時代に向けて必要なこととしては需要拡大、シェア拡大、木材利用開発の3つを挙げた。さらに、新3K(環境・健康・感動)という言葉を紹介。これによって、「林業の魅力を再発見してもらおう」と語った。
安藤氏は「木の時代」が到来したことを強調する。「木は可能性のある最先端材料であり、木をテーマとしたビジネスモデルを作るチャンスは大いにある」と提唱。また、「木というのは切って使って植えることが大切。この循環を始めることが森林の保全に繋がる」と語った。
「未来は木で支えられる。『木~ワード』は『かきくけこ』(環境・教育・暮らし・健康・こころ)だ」。そのようなダジャレを交えた標語と共に講演会は締めくくられた。