12月4日、味の素スタジアムにおいて、アメリカンフットボールの関東大学NO.1を決める、第36回関東大学選手権(通称クラッシュボウル)決勝戦が行われた。55年振りの東西大学王座決定戦・甲子園ボウル出場をかけて法大(Bブロック1位)との一戦に臨んだ慶大(Bブロック2位)であったが、いいところなく完敗。この結果、法大が3年連続14度目の優勝を果たした。

12月4日 味の素スタジアム ●
【慶大3―56法大】

 試合後の慶大・国分監督は、「(法大に比べ)何もかも劣っている。実力の差通りの点数が出た」と言葉少なであった。
 初のクラッシュボウル出場を果たし、55年振りの甲子園ボウル出場に王手をかけた慶大。法大とは9月のリーグ戦で対戦し0―34と完敗。しかし、「(選手たちは)一戦一戦自信がついているのは間違いない」(国分監督)との言葉通り、リーグ戦を勝ち抜き、クラッシュボウル決勝に駒を進めたことで、選手たちも自信を深めており、今回はここ数年「関東の雄」に君臨している法大を倒す絶好の機会であった。だが、関東大学王者の壁は想像以上に厚かった。
 第1Qで勝負は決した。法大4番・QB菅原のランに翻弄される慶大。「(菅原のプレーは)荒削りだが、彼が走ることでチームとしてうまく攻めることができた」と法大・大森監督が語ったように、QB菅原の効果的なランが慶大のディフェンスに混乱をきたした。そして、「中だるみするのではないか、と危惧した」(大森監督)と敵将が語るほど、慶大に23点差をつけた法大の第1Qの戦いぶりは見事であった。
 結果的に、慶大は「関東の雄」の容赦ない洗礼を浴びることとなった。しかし、国分監督が語る「08年までに甲子園ボウル出場」という目標を達成するには、この敗戦を糧にして、次のステップに進んでいかなくてはならない。「ユニコーンズ」の新たなる戦いがここからスタートする。
「オフェンスが思ったようにできなかった。それだけ、向こう(法大)のディフェンスが素晴らしかった。すべての面で上回られたと思う」。
 法大とのクラッシュボウル決勝戦の感想を伺うと、カート・ローズオフェンスコーチはまず相手チームを褒め称えた。
昨季まで、社会人Xリーグ・富士通のヘッドコーチを務めていたカート・ローズ氏。今年の4月、慶大にオフェンス専門のコーチとして招聘され、その独自の指導方法で、近年低迷の続いていた慶大を見事蘇生させた。そのような中で迎えた法大とのクラッシュボウル決勝戦。勝てば55年振りの甲子園ボウル出場が決まるという大一番であったが、結果は完敗。
「(選手たちは)このような大きな舞台に立つのが初めてだったので、はじめの10分でいい流れを作れず、チームとして難しい立場に立った。ただ、今の慶大はすごくいいチームだし、向上の余地は大いにある。この経験を糧にしていきたい」。そして、「(慶大は)オフェンス・ディフェンスともサイズ的に小さい分、スピードなどを生かして、スマートに賢くプレーしていかなくてはならない」とローズ氏は語った。

(安藤貴文)