春季大会では流経大や大東大に敗れるなど不安な滑り出しだったが、関東大学対抗戦を4位で通過し、大学選手権ではセカンドステージを勝ち上がり昨季と同じくベスト4という結果を残した。
 この結果をもたらした要因の一つとして、ディフェンスの安定が挙げられる。伝統である低いタックルと鋭い出足のラインディフェンスは相手の脅威になっていた。逆に、それがうまくいかなかった対抗戦の明大戦や帝京大戦は相手の攻撃に対して受けに回ってしまい、勝利することができなかった。
 一方、アタックでは、SH宮澤(法4)のテンポのいい球出し、SO矢川(環3)のゲームメイクで何度も好機を作った。FWも主将木原(総4)を中心にモールでトライを挙げるなど力強さを見せた。しかし今季、和田監督も何度も口にした「勝ち切る力」という点でまだまだ課題が残る。象徴的だったのは対抗戦の早大戦である。試合終盤に同点に追いつき、なおも慶大は攻め続けたが点を取りきることができず、勝利を逃してしまった。

ディフェンス安定するも決定力に課題

また、ラックなどの接点で、相手に押し負け、ターンオーバーをされる場面も多く見られた。特に大学選手権準決勝の帝京大戦では、そこからピンチを招くということが何度もあった。これは、チームとしての対策の不十分さももちろんだが、個々人の力不足によるところも大きい。6連覇中の絶対的な強さを持つ王者帝京を破り大学日本一になるには、勝負強さを身に付け、そして個人がスキルアップすることは不可欠である。
 今季、レギュラーメンバーのほとんどが4年生ということもあり、来季はまた一からのチーム作りとなるだろう。そこでは司令塔の矢川を中心に、今季も安定したプレーを見せたFL廣川(環2)、1年生ながら素晴らしいランニングを何度も見せたWTB金澤(商1)らの活躍が重要になってくる。
 来季こそは、二年連続で止まってしまっている大学選手権準決勝の壁を破り、大学日本一の座をつかみ取ってほしい。
      (中山直樹)