都内で進む「東京シャンゼリゼプロジェクト」
道路の賑わいの発信地に
今年6月、都道では初めて、道路上でテーブルなどを並べ、営業を行うオープンカフェが誕生した。
これは、先日東京都が発表した「東京シャンゼリゼプロジェクト」の一環だ。これまで日本では道路は通行する場所という観念が強く、ヨーロッパのように歩道でテーブルや椅子を置くオープンカフェは法律で認められてこなかった。
各自治体が管理する新宿モア4番街や、横浜の日本大通りにはこれまでオープンカフェはあったが、都の管理する道路では存在しなかった。特に狭い道路が多い都内では歩道にオープンカフェを設置する余裕はない。だが、このプロジェクトは特例道路占用制度(注)を利用しやすくし、都道上でまちの賑わいを創出するのが目的だ。
最初にこのプロジェクトの対象となったのが新橋、虎の門間を結ぶ環状2号線の新虎通りだ。この通りは自動車道の大半を地下化したため車道の左右に幅13㍍の歩道ができた。これにより特例道路占用制度の対象となり道路上でオープンカフェの開設が認められた。道路にはパラソルとテーブル、椅子が置かれにぎわいを見せている。
一方、現時点ではこのプロジェクトで企業に営業を許可することは認められておらず、自治体などからの要請が必要だ。またオープンカフェの設置が認められる基準も厳密で道路占用許可まで時間がかかることもあるそうだ。
この制度を生かした活動にはまだ新虎通りのカフェ以外ない。しかし、今後この制度を利用して道路上を賑わいの空間として活用することで、都道をより多くの人が利用するようになるだろう。これが街の賑わいや新たな文化が生まれるきっかけになる。東京オリンピック・パラリンピックに向け、東京都の「狭く、混み合った」イメージが変わっていくことが期待される。
注:特例道路占用制度
まちの賑わい創出や、道路利用者等の利便の増進に寄与する施設に対し、一定の条件で道路の占有を許可する制度
開発進む渋谷駅
「日本一訪れたい街」へ
慶應生に馴染みの深い渋谷駅が変わりつつある。2012年4月に高層複合ビル渋谷ヒカリエが開業、2013年の3月には東横線と副都心線が相互直通運転を開始したが、開発はそれに留まらない。駅周辺では 2027年度までに渋谷駅街区、南街区、道玄坂一丁目駅前地区、渋谷駅桜丘口地区の4つの区画の開発が予定されている。
現在、渋谷駅はいくつかの問題を抱えている。さまざまな路線が入り組んでおり、乗り換え先や出口が分かりづらいことや、自然な緑の欠如、坂が多い地形で街の回遊性がなかなか上がらないことなど。
現在開発中の渋谷駅はこれらの問題を解決し、「日本一訪れたい街」を目指す。渋谷駅街区と呼ばれる、渋谷駅に直結した街区では面積がそれぞれ7万平方㍍となるオフィスと、商業施設を併せ持つビルが3棟建設され、そのうちの一つが2020年に開業予定だ。また、東口と西口を直通する歩行者デッキや南北自由通路が建設されるだけでなく、地下広場やバスターミナルが再配置される予定だ。
東横線地下化で利用されなくなった旧東横線渋谷駅のホームと線路跡地の渋谷駅南街区は、現在渋谷駅の地下をわずかな水量で流れる渋谷川を、人工的に増水することで再生する。また、緑の遊歩道を整備しツタなどによる護岸緑化、高木の並木による緑豊かな通りとなる予定だ。
東急プラザ渋谷に隣接する道玄坂一丁目前地区は、クリエイティブ・コンテンツ産業や外国企業を誘致する。同時にバスターミナルを整備し、高速バスが乗り入れしやすくなるそうだ。
渋谷駅南西部の渋谷駅桜丘口地区には渋谷発のビジネス、企業の育成を目的に起業支援施設を整備する。「渋谷ビットバレー」と呼ばれるコンテンツ系企業を集積させるのが狙いだ。
開発を進める団体の一つである東急電鉄によると、将来的に渋谷が目指すのは「新しいモノを生み出す人達が集まるクリエイティブな街」。若者の「渋谷」から、若い人だけでなく大人も外国人も楽しめる「SHIBUYA」へと変わりつつある。 (在間理樹)