慶應義塾大学SMRG(Sports Management Research Group)という団体をご存知だろうか。SMRGは、スポーツを通じて、学生が主体となり「世代」や「大学」「地域」「企業」「行政」などの、既存の枠組みを超えた交流、繋がりを生み出し、新たな価値を社会に提供する研究グループである。
SMRGは昨年の7月末に結成され、現在は慶應義塾大学教員6名、同大学学生17名で組織されており、活動は学生を中心に行われ、随時教員からアドバイスを受けるスタイルで運営されている。
活動理念は、「スポーツを通じて、市民生活を幸せにする活動を創出する。そして、大学と地域社会のスポーツによる交流活動の社会的インパクトを測定・評価すると同時に、大学と地域社会の継続的な協働活動モデルを開発する。さらに、SMRG の活動や開発したモデルを他の大学や地域に普及・実施することで、日本のスポーツ界に貢献する」ということであり、慶應義塾大学から未来の日本のスポーツ界のあり方を変えていこうとしている。
具体的な実践活動としては、3つのプロジェクトを柱に行っている。大学と地域の交流を目的とした『スポーツキャンパス』の企画運営。また近年話題になっている藤沢市善行大越地区の「総合型地域スポーツクラブ」の設立支援プロジェクト。そして、主に慶應義塾体育会の映像をネットで配信し、大学スポーツを盛り上げようとする『Keio Sports Channel 』の3つである。ちなみに、今年の1月28日には、完全学生主導の慶應の体育会祝勝会『KEIO SPORTS PARTY』を開催した。
活動の基となる『スポーツキャンパス』は、慶応義塾大学SFCの公認イベントで、大学のキャンパスに地域住民を呼び、慶應義塾体育会との協働活動のもと、大学と地域社会間のスポーツ交流を行うイベントである。今までに5回開催され、5回目は日吉キャンパスでサッカー交流が行われた。
これからの展望について、代表の星出祐輔さん(環4)に伺うと、「今学期からSMRGVer2.0が始まり、特に『継続』と『社会発信』をキーワードに活動しています。前者は、今まで組織として蓄積してきた財をこれからの世代に継承し、さらに発展できるような仕組みを作っていくこと、そしてスポーツキャンパスをはじめ、多くの方々と接し、価値や信頼を構築してきた関係をさらに強いものにし、今まで以上の価値を創り出せるような仕組みを作っていくことです。後者は、SMRGの活動を発信することで、大学のスポーツ界、ひいては日本のスポーツマネジメント界で、ユニークな存在になるように価値を認知・理解してもらうことです。また、スポーツキャンパス等、他大学との協働活動を通して、大学スポーツが持つ価値を広めたい」と語ってくれた。
そして最後に、「大学、地域、企業、自治体という既存の枠組みを超えた交流を生み出すことで、多くの人を繋げ、社会・個人ともにハッピーになるような仕組みを作っていきたいです。そのためには、5年、10年後を視野に入れた組織設計と地域社会との継続的な関係性を構築しようとする社会的なミッション、個人的な想いを強く持つことが必要だと思います」とも語り、高い志を持っていることを感じさせてくれた。これからの活躍には大いに注目である。
(寺川雄司)