連覇のために負けることのできない明大戦。慶大は初戦をまさかのサヨナラ負けで落とすも、2、3戦目を連勝し逆転で勝ち点を奪う。さらに早大と明大が立大から勝ち点をそれぞれ奪ったことにより、慶大の自力優勝の可能性が復活。早慶戦で連勝したチームが優勝という状況にもつれ込む。しかし宿敵早大との第1戦、慶大は終盤に猛追を見せ、早大を追い込むもあと一歩及ばず、惜敗した。この結果、慶大の連覇の夢が潰えた。慶大は今季リーグ戦を4位で終えた。 (上井颯斗・佐野広大・八島卓也)

【明大第1戦】先月18日 ●3-4 敬遠暴投 サヨナラ負け

今季リーグ優勝候補、明大との第1戦。慶大は延長12回の死闘を繰り広げるも、あと一歩及ばず、3―4でサヨナラ負けを喫した。

先制したのは慶大。3回、小笠原(環3)、加藤拓(政2)の連打に、佐藤旭(商4)も適時二塁打で続き先制する。さらに二、三塁とし、4番横尾(総3)も適時三塁打を放ち、この回一挙に3点のリードを得る。

しかし、明大も追い上げる。4回、先頭の高山がソロ本塁打で場内をわかすと、続く糸原の三塁打、内野ゴロの間にさらに1点を返す。6回、慶大の守備の乱れからついに同点に追いつかれる。

勝ち越したい慶大は9回、横尾、藤本知(環4)の連続安打でチャンスを作るも併殺打で得点に結びつかず、試合は延長戦に突入する。

延長戦は互いに譲らない展開に。同点のまま迎えた12回裏、二死一、三塁のピンチで、慶大は高山の敬遠を選択。しかしすでに213球を投げた加藤拓は初球をまさかの暴投。連覇のために落とせない試合を落としてしまった。

【明大第2戦】先月19日 ○3-1 三宮好投 踏みとどまる

前日にサヨナラ負けを喫した明大との第2戦。序盤のリードを守りきり、慶大が3―1で勝利した。

初回、慶大は二死から谷田(商3)が二塁打で出塁すると、続く横尾(総3)がレフトスタンドへ豪快な本塁打を放ち、幸先良く2点を先制する。2回には連打で無死二、三塁とすると須藤(環2)の犠飛で1点を追加する。しかし中盤以降は好機であと1本が出ず、リードを広げられない。

打線が試合を決定付けられない中、三宮(商3)、佐伯(商4)の好投が光る。6回こそ明大糸原の適時二塁打で1点を返されたが、その他は無失点に抑える投球。そのまま序盤のリードを守りきった慶大が3―1で勝利した。しかし度々好機を演出しながら得点に結びつかないなど特に打線にとっては課題も残る試合となった。

試合後、主将の佐藤旭(商4)は「投手陣がよく投げてくれたと思う。優勝するためには今後一戦も負けられないし、第3戦も総力戦になると思うため、気を引き締めていきたい」と優勝へ意気込んだ。

【明大第3戦】先月20日 ○4-2 主軸2発 逆転で勝ち点

第2戦を制しタイに戻して迎えた明大との第3戦。慶大が主軸の活躍で挙げた得点を守りきり、明大を4―2で下した。

3回、二死一塁の場面で前2試合でも打点を記録している好調の4番横尾(総3)が右翼線へ適時二塁打を放ち慶大が先制する。5回にはオリックスからドラフト1位指名を受けた明大山崎から谷田(商3)が打った瞬間それとわかる特大の2点本塁打で中押し。さらに8回には横尾の逆方向への本塁打が飛び出し、効果的に追加点を挙げた。

投げては第2戦に続き連投となった先発の三宮(商3)が6回まで明大打線をわずか内野安打1本に抑える快投。7回には明大4番糸原にクリーンヒットを浴びるなどピンチを招いたものの後続を断ち切り、7回無失点でマウンドを降りた。

8回に2番手の佐伯(商4)が明大高山に2点本塁打を浴び、2点差に詰め寄られるが、佐伯の後を受けた明(政4)が明大に傾きかけた流れをシャットアウト。そのまま明が試合を締めて、慶大が勝ち切った。

この勝利で慶大は明大から逆転で勝ち点を挙げ、他力ながら優勝の望みを繋いだ。

【早大第1戦】今月2日 ●3-4 反撃及ばず 優勝消える

慶大の連覇がかかった早慶戦。負けられない第1戦は幸先良く先制するも終盤に勝ち越しを許し、最終回の猛追も及ばず、3―4で惜敗した。

試合は初回から動く。二死から谷田(商3)が安打を放ち、暴投で二塁を陥れると続く横尾(総3)の適時打で慶大が先制する。しかしその裏、早大も小野田の適時打で同点に追いつく。

この日のエース加藤拓(政2)は本調子ではなかった。4回には早大7番中澤の適時打、同点に追いついた後の6回には早大山口の適時打、続く7回には加藤拓自らの失策で早大に2点のリードを許してしまう。

リードを奪った早大はエース有原を投入。有原を前に慶大打線は7回、8回と3人で攻撃を終え無得点。

迎えた最終回、先頭の齋藤(商2)が追い込まれながらもライトポール際へ本塁打を放ち、1点差に詰め寄る。さらに連続四球で無死一、二塁とこの日最大のチャンスを得る。しかし佐藤旭(商4)が左飛、山本泰(環3)が併殺に終わり、試合終了。この瞬間、慶大の連覇の夢が潰えた。

試合後、主将の佐藤旭は「負けてしまって優勝はなくなったが、明日は絶対に勝ちたい」と涙ながらに語った。

【早大第2戦】今月3日 ○5-4 猛追振り切り 胴上げ阻止

優勝の可能性はなくなったが、目の前での早大の胴上げを食い止めたい慶大。初回に3点を奪い、試合の主導権を握ると以降も効果的に追加点を入れ、慶大が5―4で逃げ切った。

打線は初回、無死満塁の好機を迎えると直近4試合で8打点と好調の横尾(総3)が三塁手強襲の適時打を放ち、先制する。さらに連続犠飛で2点を奪い、初回から3点を先制する。4回には主将佐藤旭(商4)の適時三塁打で追加点を入れる。

慶大の先発は三宮(商3)。2回に3連打で1点を失うも、全体的に危なげない投球で早大打線に隙を与えない。

2点リードで迎えた8回裏、内野安打などで一死一、二塁とすると8番小笠原(環3)が適時打を放ち、慶大が終盤に貴重な追加点を挙げる。

しかし最終回、前の回から登板の明(政4)が早大打線に捕まる。四球と二塁打で無死二、三塁と本塁打が出れば同点の場面としてしまう。ここで慶大はエース加藤拓(政2)を投入。暴投と内野ゴロ間に2点を失うも、最後は前日に勝ち越し打を浴びた代打山口を三振に仕留め、試合終了。慶大が辛くも逃げ切り、早大の優勝を阻んだ。

【早大第3戦】今月4日 ●0-9 総力戦も 力発揮できず

早大の優勝を阻止し、2位をかけての第3戦。慶大は総力戦を展開するも、早大打線に捕まり、0―9の大敗に終わった。

先発を託されたのは、故障から復帰した加嶋(商3)。立ち上がりからいきなり一、三塁のピンチを招くも、ここは二ゴロに打ち取り無失点で抑える。しかし続く2回、一死二塁の場面から早大中澤に適時二塁打を浴び、1点を先制される。さらに3回、代わった佐伯(商4)も早大打線に連打を許し、1点を追加される。

流れを完全に渡したまま中盤に突入すると5回、早大4番武藤から6連打を浴び、6点の大量リードを許す。6回から慶大は嫌な流れを断ち切るべくエース加藤拓(政2)を起用するも、早大打線の勢いを止められない。先頭の中村にレフトスタンドへ飛び込む本塁打、茂木の適時打を浴び、2点の追加を許す。

反撃したい慶大打線は7回、谷田(商3)と竹内惇(商4)の安打で二死一、三塁の好機を得るも後続が倒れ、無得点。早大投手陣を攻略できず、慶大は本来の力を発揮できないまま、最終戦は完封負けを喫した。