「矢上を変えたい」という思いを胸に
10月11日、12日の二日間にかけて行われる矢上祭。これに向けて、理工学研究科に設置されているアントレプナー育成講座では、塾生が5人から10人でチームを作り、会社を仮想起業して矢上祭の模擬店(アントレショップ)出店を目指して活動している。起業から解散までを疑似体験できるこの講座では、投資家役である慶應ビジネススクール(KBS)の学生にプレゼンをすることで、優れたチームにはその運営経費が投資される。
理工学研究科開放環境科学専攻に所属している三原唯さん(1年)、岸原大樹さん(1年)、松澤侑大さん(1年)、小峯祥平さん(2年)、羽鳥修平さん(1年)の5人は「YagaCom Inc.」という会社を起業し、ビジネスプランコンペでは最高額の17万円を獲得した。「矢上に新たなエネルギーをもたらす」という経営理念を掲げ、模擬店ではTシャツを販売する。Tシャツの販売は、例年飲食店の多いアントレショップの中で初の試みだ。
そもそもTシャツを売ることを決めたのは、6月下旬のコンペの2週間前。当初は、やきそばといった飲食店をやるか否かで意見が対立したこともあった。しかし、矢上祭のニーズを改めて5人で考え直し行き着いたのが、Tシャツだった。「矢上生は真面目だとか理屈っぽいという理系特有のイメージで見られるけど、その中にある矢上独自の面白さを伝えたいというメンバー5人の思いがそれぞれにあったんです」と広報担当の羽鳥さんは話す。慶應ボーイというスマートさと理系男子を掛け合わせた矢上生らしさを表現したい。それを形にした今回のTシャツのデザインは、理系学生なら分かるボルツマン方程式や相対性理論の数式が組み込まれており、解読すれば「KEIO」の文字が浮かびあがる。「これを着ることで、自分は慶應の理工学部だというプライドを大事にしてもらいたい」と5人。コンセプトの共感者にTシャツを販売するのも重要だが、矢上の面白さを伝えるキッカケとなり、矢上祭の参加者が増えてほしいという。
実際に行った7月のテスト期間中の口コミ調査では、矢上生に打診してTシャツのデザインに対する意見を集めた。共感の声を多く感じたという。「僕たち5人を含め、みんな矢上が好きなんですよ」と副社長の岸原さんは笑みをこぼした。
理工学部が創立75周年を迎えた今年。そんな年に行う自分達の取り組みが、どんな形でもいいからこの先にも伝わってほしいと意気込みを語る。5人の作り出す矢上らしさをこの目で見たい。(藤浦理緒)
【フェイスブック・ページ】Yagami Brand Build Project ~第15回矢上祭~
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