地図と古写真から慶應を知る
三田キャンパスの歴史散歩アプリ「慶應時空ぷらっと」が今年7月からApp Storeで無料公開されている。1885年から2011年までのキャンパスの地図12枚と古写真約300枚を通して、歴史の変遷を知ることができるアプリだ。文学部民族考古学専攻の山口徹研究室が中心になって開発した。
このアプリでは、GPS機能を使い、各時代の地図に沿いながらキャンパス内の散策を楽しめる。さらに地図上にあるピンをタップすると、各時代の建物やモニュメントの写真と解説が表示される。
もともと、民族考古学専攻の授業の一環で始まったフィールドワークが今回のアプリ制作へつながった。キャンパスには現在まで残る歴史の痕跡が多く存在しており、それを発信する方法として発案された。
制作にあたって、メディアセンターや福澤研究センターから写真の提供を受けた。それらの写真の年代や撮られた場所を、当時の地図や写真同士の照合を通して特定する作業に約1年をかけ、アプリが完成した。
山口教授は「本などを読んで知っていた歴史的な出来事を自分自身の出来事にしていくアプリにしたい」と語る。たとえば各時代の写真比較を通して、慶應が戦争や関東大震災時にどのような被害を受けたか知ることが可能だ。また、慶應を卒業した塾員にとって今はない校舎を懐かしむこともできる。
「歴史は過去を知るだけでなく、作られていくもの。その実践に役立つようアプリを改良していきたい」と山口教授は話す。現在はキャンパス内の歴史を知るにはどのようにまわるのが良いかルート作りをしており、今後公開する予定だ。