パスワード設定に注意喚起
スマートフォンの無料通話・メールアプリ「LINE」のIDが何者かによって乗っ取られ、アカウントに不正ログインされる事案が相次いでいる。
この事案は、不正ログインされたアカウントで何者かが利用者になりすまし、利用者の友人に電子マネーなどの購入を要求するようなメッセージを送信するというもの。LINE社によると、6月14日時点で300件以上の被害が確認されている。
慶大文学部の李光鎬教授は今回の事案について「こうした事態はLINEに限らず様々なサービスで起こりうる。それぞれのサービスで異なるパスワードを設定することを面倒だと感じる人は多い。そのため、一つのパスワードが漏れるとこういった事態が起きてしまう。その意味では、それほど驚くべき事件ではなかった」と話す。今回の不正ログインは、ユーザーが複数のサービスに同じパスワードを流用していたことに原因がある。李教授は「サービスごとに違うパスワードを設定するのは面倒だが、何らかの工夫でパスワードの差別化を図る必要がある」と対策を語った。
大学生にとってLINEは、生活を送る上で欠かすことのできない必需アプリだ。李教授が慶大を含む3大学の学生に実施した「メディア利用に関する調査」(2014年度)によると、LINEなどの無料通話アプリで「ほぼ毎日」チャットをしている大学生は約90%にも上るという。
LINEやTwitterといった種々のSNSに「依存」と言えるほどの時間を割いている多くの大学生にとって、一連の事案は決して他人事ではない問題である。李教授は「若い世代にとって友人の存在は大きな位置を占めるため、友人とのコミュニケーションの重要度は高い。SNSにある程度の時間を使っていかなければ関係の維持が難しくなっている」と大学生の人間関係上の事情について指摘した。また、その上で「SNSを時間つぶしや現実逃避のために用いると中毒に陥りやすい。目的意識を持って手段的・道具的に使用する必要がある」と注意を促した。