サッカーを見るのは代表戦やワールドカップのときだけ、という人は多いのではないだろうか。実際、日本代表の試合は毎回高視聴率を記録するのに対し、Jリーグはそもそも地上波での放送が少ない。なぜこのような逆転現象が起こっているのか。日本のサッカー界が抱える問題点について、日本のサッカージャーナリストのパイオニアである後藤健生氏に話を伺った。

■ 後藤 健生(ごとう たけお)  1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻課程修了。1964年の東京オリンピックで初めてサッカーを観戦して以来さまざまな形でサッカーと関わり続け、ワールドカップは1974年西ドイツ大会以来これまで10大会連続で現地生観戦。もちろん、2014年もブラジルで観戦予定。ワールドカップから中学生の試合まで、生観戦試合数は約5200試合。現在、フリーランスのサッカージャーナリストとして各種サッカー専門誌、スポーツ誌に寄稿。
■ 後藤 健生(ごとう たけお) 
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻課程修了。1964年の東京オリンピックで初めてサッカーを観戦して以来さまざまな形でサッカーと関わり続け、ワールドカップは1974年西ドイツ大会以来これまで10大会連続で現地生観戦。もちろん、2014年もブラジルで観戦予定。ワールドカップから中学生の試合まで、生観戦試合数は約5200試合。現在、フリーランスのサッカージャーナリストとして各種サッカー専門誌、スポーツ誌に寄稿。

日本サッカーのこれからを語る

まず後藤氏は、サッカー人気向上のためには「Jリーグにおける、全国区の人気を持ったクラブ、すなわちビッグクラブの存在が必要だ」と語る。シーズンごとに、優勝チームが異なり、激しい競争のあるJリーグは世界から見てもレベルの高いリーグだ。しかし、誰もが知っているようなとびぬけた力を持ったクラブが存在しないということはヨーロッパのサッカー強豪国のリーグと比べると魅力に欠ける。たとえば、前回のワールドカップ王者のスペインはバルセロナとレアル・マドリードというスペインの2大都市をそれぞれ拠点とするビッグクラブがあり、その2チームによる優勝争いは毎年盛り上がりを見せている。Jリーグにおいても、東京や大阪のような大都市に集客力のあるスタジアムを持つクラブが有力選手を集め、毎年のように優勝争いに絡むことで盛り上がっていくのだと後藤氏は考える。そして、「そのビッグクラブに挑む地方小都市のクラブ」という構図が大衆の共感を呼び、Jリーグがプロ野球のように、より一般的なものになっていくと後藤氏は語る。

また、ビッグクラブの登場が代表チームに与える影響についても言及した。スペイン代表を例にとると、ほとんどがバルセロナとレアル・マドリードの選手で構成されており、「国内のビッグクラブの成長がそのまま代表チームの強化にもつながる」と後藤氏は話す。
しかし、そういったビッグクラブを育てるためには、見る側の協力も不可欠だ。1964年の東京五輪からサッカーを観戦してきた後藤氏にサッカー観戦のコツについても伺った。「まずはスタジアムに足を運んで、生で試合を観てほしい」と、現地での観戦を勧める。「テレビだと把握できない駆け引きなどの細かい部分を見ることができるし、一度スタジアムで試合を観ればその後テレビで観戦するときもっと楽しめるようになる」という。

ワールドカップで少しでもサッカーに興味を持ったのならば、テレビを通してではなく、近くのスタジアムに足を運んで観戦してみてはいかかだろうか。 (木下俊亮)