増税に対応して支出を検討
平成26年度義塾予算が決定した。今年度の帰属収支差額は59億円を見込み、収入超過となった。消費税率が5%から8%となったことに伴い支出の増加が懸念されるが、増税額分を吸収した予算策定により支出額を抑えて対応する方針だ。 (榊原里帆)
平成25年度決算は、寄付金収入の増加や、経済状況が好転したことによる受託研究等の事業収入や資産運用収入の増加傾向に伴い、収入面が平成24年度と比較して上向きとなった。結果的に帰属収支差額において予算とほぼ変わらない47億円の収入超過となった。
今年度予算では、財政基盤を頑健なものにすることにより、教育・研究・医療の質の向上を図るという目標のもと、昨年度に続く財政の維持をはかる。消費税増税の影響などが懸念される中、経常的な事業の抜本的な見直しにより支出を抑えることなどで、昨年度予算よりも約9億円増となる59億円の帰属収支差額の達成を目指す。
今年度予算の収入面においては、スライド制による学費改定と昨年度開校した横浜初等部の学年進行による学生生徒納付金の増収を見込む。一方、補助金に関しては約20億円の減収が見込まれた。先端研究助成基金助成金などの大型の国庫補助金事業が、昨年度をもって終了したことによる影響だ。
このほか、寄付金については昨年度と同程度の額が計上されており、新規事業である理工学部創立75年記念事業、SFCでの未来創造塾開設、大学病院の新病棟建設事業への寄付金も昨年度から継続して含まれている。
支出面では補助金事業の終了に伴う教育研究経費の減少や、医療収入増加に連動して病院経費が約10億円増と計上されたが、他項目においては大きな変化は見られない。
消費税増税による支出面への影響については「消費税率引き上げによる増加分を吸収し、平成25年度の支出額を上限とする厳しい目標の予算となった。引き続き経費節減の努力や予算管理を適切に行うことで、支出への影響を抑えたい」と経理部課長の長妻靖子氏は話した。
【用語解説】
帰属収入は、学生生徒等納付金(学費)、手数料(入学検定料)、医療収入、寄付金、補助金などの収入であり、借入金収入などの負債となる収入は除かれる。消費支出は、人件費、教育研究経費、病院経費など、当該年度に消費する支出。帰属収支差額は帰属収入から消費支出を引いた額である。帰属収支差額のプラスは、自己資金として、将来的な施設投資や借入金の返済の財源を確保していることを示す。