日吉キャンパス内で大麻を売買したなどとして、塾生2人が大麻取締法違反の疑いで神奈川県警中原署に逮捕された後、起訴されていたことが分かった。先月30日の新聞報道で明らかになった。

 起訴されたのは、商学部2年の内田浩太郎君(21)と経済学部1年の中村友士郎君(20)。内田君は今月6日現在勾留中で、中村君には5日、横浜地裁から懲役6月・執行猶予3年の有罪判決が言い渡された。2人は慶應義塾高校で先輩と後輩の関係で、高校時代から知り合いだったという。

 事件の発覚を受け、30日午後には東館で記者会見が行われた。会見には森征一常任理事、清家篤商学部長、塩澤修平経済学部長、富田広士学生総合センター長が出席し、謝罪した。会見での主なやり取りは以下の通り。

―二人の処分について。
 「学生本人と面談の上、教育的見地から各学部で厳正に対処する。退学もありえる」

―事件の経緯把握について。
 「10月29日以前には把握できなかった。大変対応が遅れたと思う。警察から問い合わせなどはなかった」

―他の学生への調査は?
 「まず2人に事実確認をして、何かあれば学校としても調査を行う」

―再発防止策は?
 「塾生としての自覚を持つよう普段から呼びかけており、全体的な注意喚起はしてこなかった。今後は『もしかしたらあるかもしれない』という認識で、全学的に対応する。文書による通知なども考える」

―過去にも大麻取締法違反による逮捕者はいたのか?
 「2004年以降、5件ある。04年に1件、05年に2件、06年に1件、07年に1件。内訳は、1件が大学院生によるもので、その他4件は学部生によるもの。処分に関しては、大学院生を退学処分、学部生を無期停学(うち1件は不起訴のためけん責)処分とした」

 この会見の後、慶應義塾は「再発防止委員会」と「危機管理委員会」の設置を決定した。

またこの事件を受けて、6日には日吉キャンパスの記念館で安西塾長による緊急集会が行われた。集会の中で塾長は、この事件を「大きく、重く受け止めている」と述べ、「日本全国で同様の事件が起きている。キャンパスを薬物から守らなければいけない。ぜひ守ろう。塾生は、自分で考え、自分で責任を持って行動する態度を身につけて欲しい」と呼びかけた。

その後、質疑応答が行われ、塾生から質問が相次いだ。過去の5件との対応の差については、キャンパスによっては授業で啓発などを行うなどの対策をしていたが、同様の事件が全国で頻発する中、今回の事件が発覚したことで全学的な対応に舵を切ったとした。また、「取材に来るマスコミにどう対応すればいいのか」という質問や、「150年記念式典の重みがなくなるのではないか」という声も上がり、それに対して塾長は「慶應義塾の150年の歴史と式典の重みはこれによって変わるものではない」と答えた。

 塾長による同様の集会は、他のキャンパスでも順次行われるという。