「もうだいぶ昔の話みたいですね」。
春季リーグ戦について振り返ってもらうと、杉山主将(政4)はこう切り出した。
今年2月のキャンプ。「これから死に物狂いでやっていかないとまずい、という認識の下でスタートした」。
『最強世代』と謳われた、昨季のチームからのバトンタッチ。リーグ戦経験が乏しい今季のチームに対して、周囲の評価はいまひとつであった。「下馬評を覆してやろう、と」。下馬評の低さが、逆に彼らを奮い立たせた。
そして4月、春季リーグ戦開幕。チームは周囲の予想に反して、快進撃を続ける。「若い世代含め、目に見えてチームが成長していった。それが嬉しかったですね」。
しかし、最終戦の早慶戦で早大に敗れ、リーグ優勝には惜しくも手が届かなかった。「早慶戦で早大に負けたのは残念だけど、投手陣の強化など新たな課題も確認できた。大勢の観客の前で試合をできたという満足感もある。いい経験になったと思う」。
自身のポジションは捕手、そしてまた『塾野球部の主将』でもある。
「歴代の(塾野球部)主将の方々が偉大で、自分が同じ立場にあるということに正直重圧を感じるが、自分は『今できること』を常に考えて動いている。目に見えないところでチームを引っ張っていきたいと思う」。
「挑戦者」の立場であった春季とは違い、秋季リーグ戦は「他大学のマークもより一層厳しくなる。春以上に実力の試される試合が続く」。でも、「優勝以外意味がない。部員全員が、優勝しかないと思っている」。
「優勝したときだけ、(主将としての)自分に100点をつけます(笑)。秋に向けて、やることは限りなくある。自分にも満点がつけられるよう、夏の間しっかり努力して秋のリーグに臨みたい」。
神宮の杜で、塾野球部は大きく羽ばたくことができるだろうか。真価の問われる秋。戦いはもうすでに始まっている。
(安藤貴文)