投打噛み合い首位快走
2014年東京六大学野球の春季リーグが先月12日に開幕した。昨秋は中盤戦まで首位に立ち、優勝まであと一歩のところまで迫ったが、最後の4戦で4連敗を喫し苦い思いをした慶大。2011年春季リーグ以来、3年ぶりの優勝を狙いたい。慶大は東大相手に2戦計20得点の猛攻で流れに乗ると、2季連続優勝中の明大からも勝ち点を奪い、優勝に向けて最高の滑り出しとなった。 (岩田なな子、八島卓也、上井颯斗、坪﨑駿悟)
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東大第1戦 加嶋完封 白星で開幕
開幕戦となった東大との第1試合は先発加嶋(商3)の完封もあり、7―0で快勝した。
加嶋は順調な立ち上がりを見せ、東大打線を抑え込む。打線は2回表、無死満塁とするが、チャンスをものにできず無得点に終わる。
試合が動いたのは4回表。竹内惇(商4)が安打を放ちさらに盗塁で1死2塁とする。続く小笠原(環3)が右中間へ適時二塁打を放ち、慶大が先制する。このまま慶大の流れは続き、5回には谷田(商3)の2点本塁打でリードを3点に広げる。
先発の加嶋は中盤以降も好投を続け、東大に得点を許さない。打線も7回、無死満塁から藤本知(環4)の犠飛、さらに続く竹内惇の適時打で2点を加える。9回には再び竹内淳、小笠原の適時打でさらに2点を加え、試合を決定付けた。
加嶋は9回を4安打無四球の完封勝利で開幕戦を白星で飾った。
東大第2戦 打線爆発 13得点で快勝
初日の開幕戦白星に引き続き、慶大は13―2で東大を相手に連勝した。
4回裏、1死から谷田(商3)が二塁打で出塁すると5番藤本知(環4)がレフトに2点本塁打を放ち、慶大が先制する。6回には横尾(総3)の二塁打でチャンスを作ると相手の野選と失策で2点を追加。さらに満塁から加藤拓(政2)の2点適時打で完全に流れを引き寄せた。
先発の加藤拓は7回をわずか1安打無失点と好投すると、後を受けた三宮(商3)も8回表を三者三振に抑え、東大に隙を与えない。
投手陣の好投に応えるように、打線はさらに攻撃を畳みかける。8回裏、近藤(環4)と山本瑛(商2)の連打と四球で無死満塁とし、主将佐藤旭(商4)と代打川崎晃(環2)が連続適時打。一気に相手を突き放すと、途中出場梅野(環3)の2点適時打と1年生照屋(環1)の初安打などでダメ押し。この回一挙7得点とした。最終回、東大が2点を返すが、13―2で試合終了。慶大が大量得点で快勝した。
試合後、佐藤旭主将は「最初のカードでよいスタートが切れて今はほっとしている」と語った。春季リーグ戦初戦を計20得点の快勝で幸先良く勝ち点1とした。
明大第1戦 好走塁光り 大きな1勝
東大に連勝し、迎える相手は2季連続優勝中の明大。慶大は終盤に相手の守備の乱れから勝ち越し、そのまま4―3で逃げ切った。
明大の先発はプロ注目左腕の山崎。しかし慶大は初回、佐藤旭(商4)、山本泰(環3)の連打で好機を演出すると4番横尾(総3)の2点適時打で好投手を相手にあっさり先制する。
慶大の先発は前回登板に完封勝利を挙げた加嶋(商3)。この日は序盤から常に走者を背負う苦しい展開で、初回は二死から連続適時打を許し、同点に追いつかれる。
この後、お互い1点ずつ取り合うが、以降は両チームの投手陣が踏ん張り、同点のまま終盤戦へ。
試合が再び動いたのは8回表。慶大は2連続四死球などで一死1塁3塁とするが藤本知(環4)は一邪飛に倒れる。ここで1塁走者の谷田(商3)がタッチアップを試みると、これを一塁手が2塁へ悪送球。この間に3塁走者の山本泰が生還し、これが決勝点となった。最終回は5回から登板の三宮(商3)が締め、試合終了。4―3で慶大が王者明大相手に大きな1勝を挙げた。
試合後、勝利を呼び込む好走塁を見せた谷田は「入学したときからああいうプレーがあることを知っていた。ベンチを見たら監督(江藤助監督)がタッチアップの指示を出していたので」と一瞬の閃きが決勝点に繋がったと語った。
明大第2戦 リード守れず 痛恨のドロー
ここまで全勝する慶大だが、明大との第2戦は5―5で引き分けに終わった。
慶大はいきなり序盤にピンチを迎える。2回表に二死から三連打で満塁とされると、先発の加藤拓(政2)が押し出しの四球を与えてしまい、明大に先制される。しかしその裏、6番竹内惇(商4)がバックスクリーンへ豪快な本塁打を放ち、慶大がすかさず同点に追いつく。
4回、横尾(総3)が一死から四球で出塁すると、続く5番藤本知(環4)が右中間に適時三塁打、さらに竹内惇も適時打を放ち、慶大が勝ち越しに成功する。勢いは止まらず、6回裏には満塁のチャンスから8番小笠原(環3)の2点適時打で4点差とし、試合は決したかと思われた。
しかし、2季連続優勝中の明大も粘る。7回、四球と三塁打で1点を返されると、加藤拓に代わって登板の三宮(商3)が二塁打を打たれ、リードが1点差に縮まる。さらに8回には一死三塁の場面で犠飛を打たれ、ついに同点に追いつかれてしまう。
9回裏、なんとか勝ち越したいという気迫から谷田(商3)が安打で出塁するもチャンスを活かせず試合終了。第3戦にもつれ込む形となった。
明大第3戦 竹内惇3打点 貴重な勝ち点
1勝1分で迎えた第3戦は明大投手陣を10安打と打ち崩し5―3で勝利。明大から3季ぶりに貴重な勝ち点を得た。
慶大は明大の上原に対し2回に二死から竹内惇(商4)、齋藤(商2)の連続二塁打で先制に成功。一方慶大先発の加嶋(商3)は立ち上がりに走者を出すも後続を断ち、安定した投球で明大打線を抑える。5回、無死一、三塁から小笠原(環3)の犠飛で追加点を得ると6回に一死満塁から再び竹内惇が中前へ2点適時打を放ち上原を降板させる。さらに8回、先頭の谷田(商3)が明大3番手の齋藤からライトスタンドへ今季2号の本塁打を放ち明大を突き放す。
しかしその裏、加嶋が一死から1、2塁とされると続く3番高山にライトへ本塁打を許し2点差に迫られる。ここで三宮(商3)が3戦連続で登板。制球の乱れがあったものの修正し後続を断ち最終回も三者凡退に抑え役割を果たした。
主将の佐藤旭は「投手も野手も粘り強く頑張ってくれた。これからも勝ちにこだわりたい」と語った。