六月十二日、第六十三回早慶バスケットボール定期戦が行われた。会場となった代々木第二体育館には観客が多数詰めかけ、白熱した試合展開に慶応コール、早稲田コールの飛び交う盛り上がりをみせた。試合は、センター竹内公輔(総3)、ゲームキャプテン酒井泰滋(環3)らの活躍により、90―84で見事三年連続となる勝利。これで通算戦績は慶大の31勝32敗となった。
序盤から飛び出したのは慶大。早い展開から得点を重ね、10点差をつける。2Qに入ると最初は硬かった早大も除々にペースをつかみ出し、ファウルを誘発。途中、竹内が3ファウルで交代するが、乱れることなく6点リードで折り返す。
後半、慶大は3Pを連発し、15点差で3Qを終える。早大は4Q残り時間一分で1点差にまで追いすがる猛攻をみせるが、慶大は譲らず。最後は早大がファウルゲームに持ち込むも、安定したFTで、6点差での勝利を収めた。
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勝因は「それぞれの役割分担が上手くいったことにある」と試合後、佐々木ヘッドコーチは振り返った。経験の少ない一、二年のメンバーは、焦らず酒井か竹内のどちらかを基点に攻めていくことを心がけた。加えて、インカレという大舞台を同じ代々木で見てきたメンバーは、会場の異様な雰囲気にのまれることなく堂々とした試合運び。早慶戦初出場のG加藤(経3)も「去年の先輩たちを見てきたから、(早大の追い上げにも)冷静でいられたのだと思う」と話した。「観客に望まれているプレーをしなさい」(佐々木ヘッドコーチ)その言葉を実行できる意識面での強さ、勢いが慶大にはあった。そして「最後の早慶戦だから、四年生を出させたい」と苦しい展開となった4Qに四年生を積極的に投入。それが逆にチームの勢いを増す結果となった。
これで、「早稲田に負ける気がしない」(竹内)との言葉通り、竹内が入学して以来早慶戦は三連勝。通算戦績タイまで、あと一勝と持ち込んだ。
昨年度は一部リーグ優勝、インカレ制覇と輝かしい戦績を残した塾バスケ部。しかし今年度はその原動力となった三人が卒業し、下級生主体の新チームとなった。昨年も活躍した竹内、酒井らを中心にどこまでチームとして完成できるかがゲームの鍵を握っている。
春のトーナメント戦では、日本代表メンバーである竹内が遠征で不在。その結果、初戦敗退を喫してしまった。秋のリーグ戦も竹内なしで乗り切らなくてはならない場面が出てくる。まずは要である竹内を欠いた状態でどれだけがんばれるかが課題となるだろう。
「一度だけ優勝できればいいというものではない。一部でプレーし続けることが、チームとしての強さ」と佐々木ヘッドコーチが言うように、塾バスケ部の真価が問われる秋に注目である。