“ティー・セラピー”。
茶から得られる「癒し」に注目した、そんな試みをご存知だろうか。お茶と一言に言っても、その種類は実に多様だ。今回は大きく「和」と「洋」の2種類に分け、その内容をご紹介したい。
抹茶による癒しを求めて訪れたのは学生街・国立にあるティー・セラピー・スタジオ。所長を務める黒川五郎氏(81年慶應義塾大学文学部卒)は、茶道によるティー・セラピーの第一人者だ。HPに記載された茶室の住所には、一見何の変哲もない住宅マンションがある。しかし、案内された一室のドアを開けば、そこに広がるのは飛石が導く見事な和空間。黒川氏が目の前で立ててくれる抹茶はほのかに甘く、お香の香りや、緩やかに流れる音楽からも心地良さを感じる。また、立礼という作法に則るため、正座で足を痛める心配も無い。
一連の作法を知らない者にとっては敷居が高いイメージのある「茶道」であるが、その点について黒川氏は、「茶道というのは、必ずしも点前を覚えなきゃ出来ないというものでもないんですよ。原点を考えてみれば、(千)利休さんの時代にはガスレンジなどが無かったから、当時の茶釜等の茶道具で代用しただけ。だから、かつての茶道は、私たちにとってのスタバと似たようなものでもあったわけです」と話す。スタジオでは、今回のセラピーのほか、黒川氏が臨床教育学の研究を元に開発した、ウインド・クロッシング(交差的連想法)によるカウンセリングを受けることも可能だ。その理論については、黒川氏の著書『ティーセラピーへの招待』に詳しい。
一方、紅茶によるセラピー効果を提案しているのはオフィス街・銀座に店舗を構えるカフェ・NATULURE(ナチュルア)。明るい店内に入れば、茶葉の入った色とりどりの瓶や、淡いピンク色をした大きな大理石テーブルが目に入る。このテーブルからは、女性の体に優しい、独特のパワーが得られるほか、カップに注がれた茶を保温する効果もあるという。ナチュルアでは健康や味の好みに関する約50の質問に回答した後、その診断結果に基づいた、自分だけのオリジナル茶葉をブレンドしてもらうことが出来る。その種類は紅茶・中国茶・日本茶など、全てを合わせると200種類に及ぶというから驚きだ。
取材に応じてくれたティーコンシェルジュの横山珮如(ペル)さんは、「茶葉にはそれぞれの薬効がありますが、リラックスのために何より大切なのは“お客様の好みに合う”ということ。男女問わず、新しい飲み方をしたい方、冒険をしたい方に是非来て頂きたいですね」と話してくれた。ちなみに、「麻疹を心配する方には、免疫力を高めるエキナセアブレンドがおすすめ」だそう。
温かな茶を飲んでホッと一息。日頃のストレスもゆっくりと吐き出せるのではないだろうか。
(谷田貝友貴)