大きな連休のない6月。そんな6月でもぶらりと行くことの出来る観光名所が渋谷から1時間程度の距離にあることをご存知だろうか。そう、「小江戸・川越」である。今回はそんな江戸時代の面影あふれる素敵な街「川越」の魅力を紹介したい。
渋谷から埼京線に乗り電車に揺られ続けること1時間。ついに川越に到着。川越は埼玉県南部に位置し、江戸時代には江戸に最も近い城下町として重要視されていた。
そんな川越の数ある見所スポットの中からまず紹介したいのは喜多院である。「家光誕生の間」「春日局化粧の間」があることで広く世間に知られている喜多院であるが、同時に江戸城唯一の遺構が現在に至るまで残っていることでも有名である。このことからもいかに江戸幕府が喜多院を手厚く保護していたかが分かる。日本の歴史に興味がある人はもちろん、そうでない人も一見の価値ありである。その喜多院から徒歩で5分ほど離れた場所にあまり人に知られていない隠れた名所がある。中院だ。ここには島崎藤村ゆかりの茶室と京都を思い起こさせるような落ち着いた庭園がある。知る人ぞ知る名所といった独特の雰囲気を醸し出しており、休日でもほとんど人がいないため、親しい人と共にゆったりとした時間を過ごすのには最適だ。喜多院に来たついでにぜひ足を運んでみてほしい。
喜多院からバスで15分。いきなり視界に飛び込んでくるのが、川越のシンボル「時の鐘」である。時の鐘は3代目川越藩主、酒井忠勝によって 17世紀半ばに創建された。300年以上たった今でも1日に4回川越の街に鐘音を響かせている。そして、時の鐘の周りには蔵造りの町並みが広がっている。蔵造りの町並みは、江戸大火の反省から幕府が火災に強い建築を奨励したため作られた。現在でも蔵造りの多くが、お菓子や呉服などを営んでおり、このあたりを歩くだけで江戸時代にタイムスリップしたかのような気分になる。蔵造りの町から歩いて5分くらい進むと、ニッキやハッカあめのさわやかな香り。だんごやせんべいを焼くこうばしい香りに包まれた菓子屋横丁がある。ここは、毎年様々なドラマや映画の撮影に使われている。
この記事だけでは川越の魅力のうちのほんの一部しか伝えることが出来ない。ガイドブックをいくら読んでもその土地の良さをすべては分からない。ぜひ川越に行ってみて実際に目と耳で感じてほしい。
(中里美紅)