最近、巷でよく耳にする「3R」。この「3R」はリデュース(Reduce)・リユース(Reuse)・リサイクル(Recycle)の頭文字を表し、限りある地球の資源を、有効に、繰り返し使う社会を作り上げようとする取り組みである。今回この「3R」について、3R推進協議会の会長を務める、経済学部教授の細田衛士氏にお話を伺った。

 「3R」が叫ばれるようになった背景には、ゴミ問題がある。バブル以降の1人当たりのゴミの排出量の増加とともに、埋め立て処分場が減少した。また、不適切に行われたリサイクルによって有害な廃棄物の不法投棄が問題となった。この不法投棄によって、環境汚染が広がってしまったのだ。こうした状況を受け、環境汚染を防ぐために法整備がされ、また、ゴミにならないような製品や長寿命の製品作りを目指すリデュース、一度使用した製品を中古として再使用するリユース、使用した製品を原料に戻すリサイクルという「3R」という制度が整えられた。

 現在では産業廃棄物の埋め立て量が1996年と較べて半減以下になっており、リサイクル率は一般廃棄物で約18%、産業廃棄物で50%以上となっている。リサイクル率上がった。

 しかし、リユースにおいては中古市場が形成されつつあるが、まだ活性化している段階ではない。また、その将来性を最も心配されているのは、リデュースである。排出されている廃棄物の量が一般廃棄物、産業廃棄物ともに変化していないのだ。製品軽量化に成功したものも一部あるが、マクロ的にみると減少していない。この背景には、消費量の減らないこと、ライフスタイルの変化、また核家族化によるゴミの量の増加など、さまざまな要因が挙げられる。核家族化によるゴミの量の変化は、1人当たりのゴミは家族の構成員が減るごとに増える、という統計に基づいている。

 「3R」の今後の展開としては、循環型社会形成基本法の基本計画の改訂に伴ってリデュースの推進が緊急の課題となっている。また、日本政府はよりよい資源循環を目指すために、アジア全域に「3R」という日本の知恵を広めていく方針だ。例えばパソコンなどの使用済み機械製品が、無秩序な状態で東南アジアなどに多くが輸出され、必ずしも適正でない状態でリサイクルされていることが懸念されている。透明で円滑な資源循環の流れを作ることが望まれている。

 最後に細田氏は「捨てることは様々なコストがかかるということを意識し、なぜ『3R』をしなければならないのかを考えてほしい。そして、生活する中でいかにゴミを減らせるかを自分なりに考え、実践してほしい」と語った。環境問題が深刻化している昨今、「3R」を意識するにあたって、環境問題について深く考え、行動・実践することが求められている。

(阪本梨紗子)