慶應義塾大学の夏の恒例行事に、オープンキャンパスがある。オープンキャンパスに来ている受験生の中には、合格後一人暮らしを考えている人もいるだろう。実際、慶應義塾大学の在学生がどのような生活をしているか気になる受験生も多いはずだ。そこで今回は、現役の塾生2人の異なった生活を、住宅に焦点を当てつつ紹介する。

(坂元伸光・徳田達也)

 「慶應ボーイ」という言葉に代表されるように、慶應生=お金持ちというイメージがある。慶應生の一人暮らしと聞けば、リッチな住宅に住んでいると考える人も多いだろう。しかし当然、格安アパートに住んでいる慶應生もいる。そこで、住宅環境が全く異なる2人の塾生の生活を紹介しよう。

 まず紹介するのは、家賃月30万円、品川駅から徒歩5分のマンションに住んでいる塾生のUさん。Uさんは3LDKの部屋に妹と2人で暮らしている。当初は高級物件に住む予定は無かったが、手頃な物件が見つからず、現在の部屋を選んだという。家賃が高いだけのことはあり、Uさんは「周囲は静かで緑も多く、安全管理が万全なので快適に暮らせる。また三田キャンパスに近く、通学にとても便利」と語った。

 しかし、二人暮らし特有の問題もある。Uさんは妹さんが苦手で、大学から帰宅した時に妹さんが自宅に友人を招いていたため、家に入ることが出来ずに1時間ほど辺りを徘徊したこともある。

 そんなUさんだが、大学では2つのサークルに所属し、充実した日々を過ごしている。

 次に紹介するのは家賃月1万8000円、日吉駅から徒歩15分、風呂なし、トイレ共同という超格安物件に一時住んでいたOさん。実家から片道2時間の通学に嫌気がさした時、Oさんはこの物件に出会い、あまりの安さに即申し込んだ。しかし、彼が生活を送る上で最も困ったのは風呂なしの環境。友人の家や銭湯に行くことでどうにか対応した。隣の住人の声が筒抜けになる薄い壁もOさんを悩ませたという。

 欠点が目立つ格安物件だが、劣悪な環境だからこその利点もある。「テレビもインターネットもなかった。だからこそ、読書など時間を有意義に使えた」とOさんは語る。実際、サークルや研究所など、様々な分野で活動し、充実した大学生活を送ったようだ。

 まさに「格差」という言葉が示すように、2人の住宅環境は大きく異なる。だが、充実したキャンパスライフを送るという点では2人の間に「格差」はない。住宅環境は生活に大きく関わるが、充実した大学生活を送れるかどうかは自分次第なのかもしれない。