学生時代は、特別優秀な成績ではなかったがひたすら中国研究に没頭した。図書館通いの日々で、中国オタクだったそうだ。そういった学生時代から得たのは、分析し、論理的に思考することだという。一方で大学とは、出会いの場であったとも話す。特に、先日亡くなった石川元慶應義塾長との出会いは、自分自身の人生を変えるものであったそうだ。その石川氏も務めた法学部長の就任にあたって、「伝統を守りながらも、創造的に革新すること」が何事においても大切だという。
来年、慶應義塾が創立150年を迎えるにあたり、研究と教育をどう充実させるかが当面の課題である。法学部の法律学科と政治学科は、いずれも100年以上の歴史があるが、過去の栄光だけでは今後通用しない。
長期的な課題として、1つ目には法律学科、政治学科の専門研究を深化させ、同時に両学科の連携を強化する。また、法科大学院での新司法試験守秘義務違反の問題の反省として、法科大学院との協力強化も必要だ。2つ目に、三田と日吉の関係を強化し、さらに他学部との壁を低くしていくことを目指している。そういった意味でも、ネットワークをしっかりと整えていくことが重要である。そして3つ目に、研究・教育の拠点形成のためのCOE等のプログラムの拡充がある。4つ目に、国際的に通用する優秀な人材育成をいかに行うかを考えることである。今後の日本社会を支える、より多くの優れた人材を様々な分野に供給することが今後の課題である。それとの関連で、女性が社会で活躍するための方法を考えていくことも重要なテーマである。
(阪本梨紗子)