義塾体育会の試合を華やかに盛り上げる應援指導部。しかし、應援指導部がどのような組織なのかについては、実のところあまり知られていない。應援指導部の日々の活動に迫った。

 應援指導部の活動は神宮球場での野球の試合やその他の体育会各部の慶早戦での応援、三田会と塾生との交流の場や三田祭でのパフォーマンスがメインである。

 練習は日吉で平日の夜に週2、3回。内容はランニング、発声といった基本練習のほか、太鼓などを使った実践練習も行われる。

 さらに、合宿では8泊9日の共同生活によって部員同士の連帯感の強化を図りつつ、レクリエーションなども挟みながら、練習や応援についてのミーティングが行われる。以前は厳しい練習のために倒れてしまう人が続出していたが「それではいけない」と、最近では実践的な練習が増え、無茶な練習は減らされた。

 とはいえ、練習が厳しいものであることに変わりはない。さらに、強い日差しのなか学ランに身を包んで激しい応援を行うのも決して楽なことではない。

 また「伝統的な堅い部」というイメージが付きまとう應援指導部の新入生確保は厳しいものである。一之瀬潤主将(政4)は「大変ですね。今年は(新入部員が)特に少ない。体育会自体の人数が減っているなか、(新入部員を)確保するにはオリエンでのパフォーマンスだけでは厳しい。それでも、入部した者にしか分からない経験や感動を伝えれば、後輩たちは自然と付いてきてくれる」と語る。

一之瀬主将自身も自分が抱いていた大学生像とのギャップなどから「やめたい」と思ったことが何度もあった。そんな時、支えとなったのが誇りを持って応援を行う上級生の姿であり、面倒を見てくれた上級生との人間関係だった。

 では、そのような支えとなる応援の魅力とはどのようなものなのか。その醍醐味について一之瀬主将は「応援の爆発力が発揮された時に体育会が勝利してくれたことや、計算できない力で人や人の気持ちを動かすことが嬉しい」と言う。

 加えて「応援団の文化というものが純粋に残っているのは六大学ぐらいしかない。そのような文化を絶やさないようにしたい」とも語った。

 そのために、應援指導部はキャンパスの中庭でのパフォーマンスや昼休みのビラ配り、スポーツマネージメントを研究している学生団体のSMRGとの連携による情報配信を行うなど、活動を多くの人に知ってもらえるような努力を、伝統にこだわらずに柔軟な姿勢で行っている。

 最後の慶早戦、一之瀬主将にも期するところがあるようだ。取材の最後に塾生へのメッセージを聞くと迷わずこう答えた。
 「今年の慶早戦は確実に優勝決定戦になると思います。野球部も春に比べて成長し、プレーの質が高いように思えます。中にはプロに行きそうな選手もいる。自分たちも最高の応援席を提供できるよう努力するし、野球部はそれ以上の努力をしている。だから、ぜひとも慶早戦は見に来て下さい」

(松本理平)