「期間限定」や「残りわずか」と聞くとつい衝動買いをしてしまう経験がないだろうか。人は選択の自由が奪われそうになると、その自由を取り戻そうとして、つい物を買ってしまうそうだ。この行動は心理的リアクタンスと呼ばれ、日々の生活の中にも溢れている▼我々がこれまで何度も経験してきた試験についても同じことが言えるだろう。試験の倍率が高ければ高いほど、選択の自由が奪われるのを恐れて我々は努力する。だがその選択は自分が心から欲しいものなのか立ち止まって考えることがある▼大学受験生にとって、受験は自分が本当に欲しいものが何かを知るいい機会だ。偏差値や難易度に捉われず、自分の学びたいことが学べる環境に道を進めてほしい。選択を焦らないためにも一つ一つの試験を大事にするべきだ。▼「偶然は準備のない者に微笑まない」。さまざまなワクチンの発明で知られるパスツールが言った。受験生にはこれまでの準備を思い出してほしい。その準備は必ずや無駄にはならない。不安を感じたら一生懸命勉強したノートや参考書を見返してみよう。もしかしたら最後に見たそのページが偶然を起こすための力となってくれるかもしれない。 (長屋文太)