リーグ戦を終えた後、主将の松下(総4)が「本当に苦しいシーズンだった」と語ったように、今季の慶大は苦難の連続だった。

前期リーグ戦は開幕4連敗でスタートダッシュに失敗。その後は持ち直したが、8位で前期を終えた。日本一を目指した総理大臣杯では初戦敗退。後期も開幕から5連敗を喫し、チームの調子は最低に落ちた。

須田監督は状況を打破するために、戦術を今までのマンツーマンからゾーンでのディフェンスという、より組織的な戦術を用い、日体大戦では安定した試合運びで後期初勝利を収めた。その後も徐々に調子を上げ、なんとか残留を決めた。

ここまで苦戦した原因は何か。一つは守備の脆さにあるだろう。リーグ戦で慶大は総失点が52。これは12チーム中でワーストの数字だ。1点を取られるとそこから次々と追加点を与え、大量失点で敗れる試合が多かった。それにつられて攻撃陣も得点力不足に陥るという悪循環に陥った。

奇跡的に残留を果たした慶大だが、この課題を克服しなければ来季も厳しい戦いが予想される。

しかし、今季の主力は3年生が大半だったので、経験は豊富だ。また、MF端山(総2)が全日本大学選抜に選出されるなど、明るい材料も多い。 残留争いではなく日本一を目指した戦いを今度こそ披露できるか期待が集まる。  (木下俊亮)