今年10月、自治会費制度調査会が発足し、先月から自治会費値上げのための広報活動が始まった。自治会費値上げへの賛同を求める署名活動や全塾協議会の予算の現状についての説明会を行っている。署名活動は2000人の塾生の署名を集めることが目標。まずは全塾協議会の定例会への署名提出を目指していく。(長屋文太)
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塾生への周知が課題
2015年4月からの自治会費値上げを求める署名活動が先月、自治会費制度調査会によって始められた。この調査会は今年10月に自治会費の増額を目指して発足。署名のほかにも先月には各キャンパスにて説明会を開くなど広報活動を行った。
自治会費とは一人当たり年間750円を徴収し、塾生の福利厚生のために使われるお金のことである。集めた自治会費は全塾協議会によって自治会費交付金として福利厚生を担う各所属団体に分配されている。たとえば、三田祭実行委員会や塾生会館運営委員会、体育会本部、文化団体連盟などである。
1958年を最後にこの自治会費は値上げされていない。当時と比べ、物価が大幅に上がっているために、現在の額では活動の規模を維持することができないという事情がある。現在は、各団体とも内部留保で不足分を補填している状況だ。同調査会によれば、各団体とも内部留保は2・3年でなくなる恐れがある。また、既に内部留保がなくなった団体もあるという。
これまで多くの全塾協議会事務局長が自治会費値上げを公約として掲げてきた。しかし、自治会費がこれまで上がったことはなく、具体的な値上げの手順が不明であった。
自治会費制度調査会は、これまで自治会費の値上げに挫折してきた経緯を調べ、値上げへの道筋をつけるために設立された。複数の全塾協議会所属団体の代表などが中心となっている。
値上げのプロセスとして、①全塾協議会の定例会での値上げ可決、②学生部や学生センターなど各団体への相談、③理事会での決定が予想されている。自治会費は学費と一緒に徴収されるため、慶大全体での慎重な議論がされる見込みだ。
署名活動の狙いは、そのような議論の場に塾生の意思を示すことで、承認を得やすくすることだ。12月末までに2000人の署名を集め、まずは定例会への提出を目指す。署名用紙は各学生団体を通じて配られているほか、自治会費制度調査会のウェブページからダウンロードすることも可能だ。
自治会費を上げる具体的なメリットとして、三田祭をはじめとする学園祭を景気などの影響を受けずに運営していきやすくなることが挙げられる。また、学生活動が活発化することによる慶大のイメージ向上は全塾生に利益があると同調査会は説明する。
自治会費の値上げを公約としてきた全塾協議会事務局長の伊藤涼太さん(法4)は、「学生活動をすればするほど、利益を還元できるような制度に変えていきたい」と述べている。その一方で、自治会費の恩恵を直接受けていない人が多いことが課題である。三田祭のステージ設置代など、全塾協議会の自治会費が身近なところで使われていることを広報していく方針だ。
自治会費制度調査会の代表を務める岡本泰治さん(医5)は「自治会費を上げることが目的ではなく、さまざまな学生が福利厚生や恩恵を受けるために活動していきたい」とした。