筋肉と体脂肪が鍵
一人暮らしをする学生にとって最も懸念されるのは健康管理である。バランスの整った食事や、なかには適度な運動を心掛けている学生もいるだろうが、体重管理を徹底している学生は意外と少ない。今回は「一人暮らしをする学生の健康管理」をテーマに、株式会社タニタに話を伺った。
体重を測る意義は、自らが肥満であるか否かを確認することにあるという。生活習慣病の原因であるとされる肥満になることを未然に防ぐのが狙いだ。 ただし、体重の増減のみに着目するのではなく、筋肉量や体脂肪率まで確認しなければならない。たとえ同じ体重であっても、筋肉や脂肪の量によって、健康状態の良し悪しは当然ながら変わってくるからだ。たとえば、森三中の大島さんと野球のイチロー選手は、同じ体重であるという。しかし、両者の脂肪量と筋肉量には大きな差があり、肥満であるか否かという決定的な違いが生じる。
体重を測るタイミングにも注意が必要だ。より正確な値を出すには、いつも同じ時間帯、かつ同条件のもとで計測する必要がある。タニタ社では、午後四時の空腹な状態で測られた数値が基準のデータとして採用されている。この条件に合わせることにより、同社が表しているさまざまなデータと、自らの数値を照らし合わせやすくなるのだ。
しかしながら、一般的な大学生が毎日午後四時に測定を行うのは難しい。そこで推奨されるのが、起床してトイレに行った後のタイミングだ。体脂肪率は、体内に微弱な電流を流した際の、筋肉の中における電気抵抗値によって算出される。起床後は睡眠中に脱水しているため、一日の中で最も痩せている状態のデータが採れるとされている。一方、入浴後や運動後といった、汗をかいて体温が上がっている状態での測定は避けた方がよいとされる。温度が加わると電気の通りはよくなるため、普段とは異なる数値が出るからだ。
毎日、同じ条件で計測することの意義は、自らの生活を振り返ることができるようになる点にある。計測を継続的に行うことで数値が増減する原因が自然と把握できるようになり、その結果、無意識のうちに普段から健康的な生活を心掛けるようになるのだ。
体重を見て一喜一憂するだけではなく、筋肉量や体脂肪率にも目を向ける。一日の中で最低一回は測定する。たったこれだけのことで、自分の生活の改善が期待できるのだ。運動量が次第に減少してくる大学生だからこそ、食欲の秋を迎えた今、改めて体重計を活用した健康管理を実践してみてはいかがだろうか。 (阿久津花奈)