日程改革は「土台づくり」
慶大は今年7月、来年度から新しい学事日程を導入することを明らかにした。従来の授業にはない教育効果を見込んでいる。今回の変更により2学期制と並行して4学期制の実施も可能になるが、導入については各学部の裁量に任されている。今後は学部ごとに4学期制の導入も含めて協議が行われ、例年通り年末頃までに、来年度の開講科目や実施形態が決定される。 (斉藤航)
来年度日程の詳細発表は年末
慶大は来年度より4学期制の実施が可能となる学事日程の導入を決定した。今回は学事日程変更の枠組みの構築であり、具体的な実施内容の検討は今後学部ごとに進めていくという。担当常任理事である文学部の長谷山教授も「今回の決定は、各学部が4学期制の導入も含めて来年度の学事日程の検討をするための共通の土台に過ぎない」と述べており、あくまで変更のための出発点であるということを強調している。
来年度の学事日程は現時点では定まっていない。各学部共通の学事日程については全学的な調整が必要であり、これまで通り審議を行った上で決定する。各学部で4学期制をどう組み込むかは、年末頃までに決定する予定だ。
今回の日程改革で学部によっては授業形態の大幅な変更が予想される。従来では、1年を春学期と秋学期に分割し、それぞれ約4カ月ずつを単位として授業が設置されてきた。来年度からはこれと並行して、それぞれの学期をさらに2分割して、約2カ月を基本単位とした授業の設置も可能になる。
この変更のねらいについて、長谷山教授は、「学びの多様性・国際性・集中性を向上させること」を挙げている。自由度のより高い学事日程の導入により、教育内容の多様化・充実化を図り、国内外のプログラムに参加しやすい枠組み作りを目指している。
1つの学期を2カ月で区切るということで週2回ずつの短期集中型授業の設置も可能となり、より高い教育効果を期待できる。少人数規模の授業や多様なプログラムの創出も考えられる。
さらに、学期が増える分、履修の仕方によっては学生自身が自由に使える時間も新たに生まれる。例えば、長期休校以外の学期中に留学や海外ボランティアなどに参加することができるようになる。今後は学生がより自由に履修を組むことができる。
学事日程の変更は、昨年度有力12大学の参加で発足した「教育改革推進懇話会」での話し合いを受けて慶大独自に考案されたものである。各学部長を中心とする委員会と新たに発足したワーキンググループで、慎重な議論を重ねていき今年の7月26日に開催された大学評議会において、来年度以降4学期制の実施も可能な学事日程の共通土台について決定がなされた。
だが、今回の決定に関して、突然の発表となってしまったために、学生の認識が進んでいないのが現状だ。慶大はWEBサイト上で4学期制移行の検討状況を載せるなど告知はしているものの内容に関してはあまり認知されていない。
また、学事日程の変更に伴い科目履修の方法が複雑になることが見込まれる。授業の形態は各学部によって異なるため、方針が固まり次第、学生部が学生に対して必要な情報提供を行っていくという。