この間、後輩とご飯に行って1円単位で割り勘したら、「ちっさい男ですね」と言われました。後輩から尊敬されるようなでっかい男になりたいです。どうすればいいですか?(文2)
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「いや、そこは先輩がおごれよ(笑)」と投書を見ながら苦笑するのはY(経2)。するといきなり所長K(理3)が「よしY、富士山みたいなでっかい男になってこい!」と松岡修造ばりの熱い言葉でむちゃぶり。「えーじゃあ何かおごってくださいよ。何をすれば良いんですか?」とYは3男のお願いをしぶしぶ承諾。「んーやっぱ男磨き的なものかな?」とK。Yは「なるほど」とだけ言い残し、なぜかB(文2)とM(経2)を連れ部室を後にした。
Yたちが向かったのは三田キャンパスからほど近い東京タワーがよく見える通りだ。「中身じゃなく物理的な意味ででっかくなりたいんだよね」と言い、都会のど真ん中でカメラを片手に秘密の活動を進める。通行人が時折怪訝そうな目でこちらを見るが、「き、奇行種じゃないから安心して」と震え声でYは返すのが精いっぱい。
約30分後、「でっかくなってきました!」とさわやかな笑顔でYたちが部室に戻ってきた。「これ見てください!」とYは言い、いくつかの写真を提出した。333㍍の東京タワーと同等の大きさになったYたち。いわゆるトリック写真を撮っていてたのであった。東京タワーを握りしめるY、東京タワーを蹴り飛ばすM。そして「333㍍級の恋人を見つけました!」と愛の口づけまでしてしまったB。東京タワーの中で観光中の人々は、この巨人?たちに遊ばれているなど知る由もない。
しかし恋愛成就のために毎日神社に通う(7月号参照)など無駄にストイックな姿勢が求められる我が事務所。30分近くの簡単な作業で済ませたことで、こち三田への愛が人一倍強い所長Kから漂う殺気。Yたちは「ひぃー」っという情けない声を漏らすことしかできなかった。
「罰として残りの夏休み使って、これ行っちゃおうか?」Kが開いたWEBページには「心身共に改造!ムエタイジムで男を磨く!海外武者修行の旅9泊10日」という絶望的なツアーが。「まあ、このツアーが終わるころには9月号発行してるけどね☆」こち三田で犯したギルティを償うためにYは重い足取りでパスポートを取りに行ったのだった…。 (おあずまん)