チーム力の底上げを
今シーズンの前半戦が終了し、慶大はリーグ戦8位、アミノバイタル杯は準優勝という結果を収めた。
開幕から4連敗を喫し、苦戦を強いられたリーグ戦だったが、第5節を引き分けると徐々にチームの調子は上昇。最終的に3勝5敗1分けでリーグ戦を折り返した。影には大胆な先発メンバーの変更があった。FW端山(総2)は繊細なテクニックと豊富な運動量を駆使してそれまでMF武藤(経3)に頼りがちだった攻撃面にアクセントを加え、一時は最下位だったチームが浮上する原動力となった。また、昨シーズンまでトップチームでの出場が無かったMF淡野(文3)も相手ディフェンスと中盤の間のスペースを巧みに突く動きでボール回しの潤滑油の役割を果たした。ディフェンス面においても新戦力の台頭が目覚ましく、DF望月(環1)、DF溝渕(環1)がスタメンに定着。最終ラインに安定感をもたらした。しかし一方で懸念材料となったのがMF近藤(総2)の不調だ。昨季リーグ戦で8得点をマークしたが今季は未だ無得点。カップ戦で3得点と復調の兆しを見せただけに後半戦での復活に期待がかかる。
アミノバイタル杯でも苦しい試合が続いたが粘り強さを見せ勝ち上がり、2位の好成績で総理大臣杯への切符を手にした。特にMF武藤は抜群の働きで得点王に輝いた。今大会の収穫として須田監督は「多くの選手に出場機会を与えられたこと」を挙げた。MF磨見(文3)やMF山内(法3)など、リーグ戦での出場が少ない選手が一発勝負のトーナメントを経験できたことは大きな収穫と言える。また、チームの要の松下主将(総4)がけがで不在の状況でもチーム全体でその穴を埋めた。
しかし、決勝では明大に地力の差を見せつけられ完敗。全国で戦うには力不足を感じさせた。早慶サッカー定期戦でも課題が浮き彫りとなった。早大のプレッシャーに押されミスを連発し、カップ戦を勝ち上がった自信を見失ってしまったかのような戦いぶりだった。
8月にある総理大臣杯に向けて松下主将は「全国の強豪との間にある大きな差を埋めなければならない」と話し、チーム力の底上げを課題とした。そのためにはこれまで出場機会の少ない3,4年生がスタメン争いに加わり、チーム内の競争を激しくすることが必要だ。一か月という短い期間ではあるが慶大が全国で勝ち上がるにはチームの一人ひとりが強い意識を持ってレベルアップに取り組むことが求められる。 (木下俊亮)