8月に行われる総理大臣杯の予選(アミノバイタル杯)が行われ、初戦の明学大戦、2回戦の関学大戦と勝ち上がった慶大は3回戦でPK戦の末、青学大を破り、全国への切符を手にした。準決勝の中大戦も点の取り合いとを制し、決勝に進出。惜しくも明大に敗戦し準優勝で大会を終えた。慶大は2季ぶりに全国の舞台へと乗り込む。(木下俊亮・井口聡一郎)
2度のPK戦制し、勝負強さ見せる
1回戦 明学大戦 ○3―0 力の差みせ雪辱果たす
1回戦は明学大と対戦。力の差を見せつけ、3―0の快勝を収めた。
前半、動きに硬さが見えた慶大。攻守の切り替えが遅く、相手に多くのチャンスを与えてしまう。「個々の力で何とかしようとしていた」(須田監督)というようにチームとしての連動性に欠けていた。
しかし後半に入ると、複数の選手が絡む攻撃が増え、流れを引き寄せる。すると、後半16分にサイドに流れたFW端山(総2)のクロスをスペースに飛び込んだMF淡野(文3)が合わせ、先取点を奪う。直後の後半22分にも端山のコーナーキックからMF武藤(経3)が追加点を挙げ、2点差とする。
その後も慶大は疲れの見えた相手に対し、怒涛の攻撃を見せる。後半39分にはゴール前でボールを受けたMF山内(法3)が3点目を決め、そのまま試合は終了。今季初の完封勝利で2回戦進出を決めた。
昨季は初戦で敗れ、屈辱を味わった慶大。「常に相手が格上の気持ちで戦う」(武藤)の言葉通り、油断ない試合運びを見せた。
5得点で得点王に輝いたMF武藤
2回戦 関学大戦 △3―3(PK6―5) 2度追いつき競り勝つ
2回戦、関学大との対戦は接戦となり、PK戦を制した慶大がベスト8進出を決めた。
前半24分にMF武藤(経3)のゴールで先制したが、直後の前半28分に追いつかれ悪い流れで試合を折り返す。後半10分に逆転を許すと、試合は関学大のペースに。流れを引き寄せるべく慶大は高さのあるFW平戸(法3)、MF小林(環3)を投入。すると、終盤この交代策が的中する。後半ロスタイム、ディフェンスラインからのロングボールを平戸がMF増田(環3)へ流す。その増田からのクロスにMF近藤(総2)が合わせ同点に追いつく。
延長戦に突入しても関学大に猛攻を仕掛ける慶大。しかし相手の守備を崩すことができず、逆に延長後半3分にはPKから勝ち越し点を与えてしまう。追い詰められた慶大だったが、延長後半ロスタイム、ペナルティエリア手前のフリーキックを平戸がヘディングでゴールへ叩き込み、同点。試合はPK戦での決着となった。
PK戦はサドンデスまでもつれこむ展開となったがGK増川(商3)の活躍もあり、6―5で慶大が勝利した。
3回戦 青学大戦 △1―1(PK4―1) PK制し全国決める
勝てば総理大臣杯出場が決まる青学大戦。互角の勝負を繰り広げ、PK戦を制した慶大がベスト4進出を果たした。
前半、連戦の疲れからか全体的に動きが重く、思うようにボールを前へ運べない。前半29分に先制点を奪われるとその後も勢いに乗った青学大に攻め込まれる。しかしDF保田(法3)を中心とした粘り強い守備で追加点は許さず1―0で前半を終えた。
後半、一転して慶大は攻勢に出る。後半3分、FW武藤(経3)のスルーパスを受けたMF近藤(総2)が2試合連続となるゴールを決め、同点に追いつく。そのまま主導権を握りたい慶大だったが青学大の守備を突破できない。延長戦でも決着はつかず、またしても試合はPK戦へ。
「技術班のデータ通りだった」とGK増川(商3)が立て続けにシュートを止め、勝利を引き寄せる。最後は4人目のMF磨見(文3)が落ち着いて決め、試合終了。準決勝進出を決めた。
ピッチ上の選手だけでなく、サポートメンバーを含めたチーム全員で掴んだ勝利で念願の全国への切符を手にした。
苦しみながら、ベスト4に進出した慶大。準決勝では中大と対戦した。
立ち上がりこそ攻め込まれる場面が目立つも、その後、流れを掴んだ。23分にMF近藤(総2)、33分にMF淡野(文3)のゴールで試合を優位に進める。41分に1点を返されるも、45分にはFW端山(総2)が追加点を決め、3―1で前半を折り返す。 後半も開始直後に得点を奪った慶大、このままゲームを支配するかと思われた。しかし、試合は波乱の様相を呈する。61分、一瞬の隙をつかれ、中大に得点を献上すると、直後にMF武藤(経3)が得点。81分にも中大にゴールを奪われるが、間髪いれずに武藤が強烈なミドルシュートを決める。85分にまたしても得点を許すが、武藤がこの日ハットトリックとなるダメ押し点。その後、ロスタイムにも中大にゴールを割られたが、試合は7―5で慶大が勝利した。
乱打戦を制し、決勝にコマを進めた慶大。タイトルのかかった1戦の相手は流経大を破った明大となった。
序盤、カウンターからMF武藤(経3)、近藤(総2)らがチャンスを作り出していたが、前半42分にオウンゴールで先制点を献上すると試合は徐々に明大ペースへ。後半に入ると攻撃陣が抑え込まれ、苦しい時間帯が続く。守備でも足が止まりはじめ、簡単に相手の突破を許す場面が多くなる。すると後半21分、ドリブルから2点目を決められ慶大に焦りが見え始める。積極的に攻勢をかけ、決定的な場面を演出するも決めきれず、逆に後半ロスタイムには明大にカウンターから試合を決める3点目。3―0の完敗を喫した。
決勝まで進んだものの惜しくもタイトルを逃した慶大。しかし、「全体の底上げができた実りのある大会となった」と須田監督が語るように、決勝まで勝ち進んだことはチームにとって大きな糧となったはずだ。
8月には総理大臣杯が始まり、初戦は札幌大学と関西学院大学の勝者と対戦する。荒鷲イレブンの全国での活躍が期待される。
(全国大会は8月11日から)