照りつける太陽の日差しに青い空の下、さまざまな熱いイベントが学生たちの夏を賑わせる。その中でも、音楽ファンにひときわ夏の到来を感じさせるのが夏フェスだ。
俗に、フェスと略されるのはロック・フェスティバル、つまりロックを中心とした音楽イベントのことである。現在では主に野外で大規模な会場が設置され、数々のバンドが丸一日もしくは数日間かけてライブ・パフォーマンスを行う。春フェスや年末フェスなどその規模や開催時期はさまざまだが、長期休暇が取りやすく気候的に適した夏季に多くのフェスが開催されている。

観客と共に作った魅力

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012 のライブ風景(株式会社ロッキング・オン・ジャパン提供)
日本の代表的な夏フェスとして、毎年8月上旬に国営ひたち海浜公園(茨城県)で開催される「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」(企画制作:株式会社ロッキング・オン・ジャパン)が挙げられる。今年で開催14年目を迎えるこのフェスは、初年度から一貫して邦楽ロックをジャンルとして掲げ、全国から毎年多くの若者が駆けつける。昨年度の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012」には総勢147アーティストが出演し、3日間の動員数は過去最高の17万4000人を記録した。
ロック・イン・ジャパンでは、観客が最大限にフェスを楽しむことができるよう、さまざまな工夫が施されている。その中でも参加者が知っておくべき予備知識がいくつかある。
まずは公演当日、入場ゲートにてチケットと交換にリストバンドが配られる。会場ではこのリストバンドを提示しなければ、ステージ間を移動することができない。たとえ3日通し券を持っていても、必ず1本のリストバンドと交換されるため、破損・紛失は禁物だ。一度手首から外してしまうと、再度付け直すことが不可能なため、数日間参加する方は、この点に十分気を付けてほしい。
次に、クロークの利用を是非おすすめしたい。これは通常のロッカーとは違い、一日1000円で手荷物を出し入れ自由の袋に預けることができる場所だ。グッズや雨具などはクロークに預けて必要なときに取り出すことで、長いライブを身軽に楽しむことができる。 また、スマホユーザーはロック・イン・ジャパンの無料アプリを事前にダウンロードしておいて損はない。このアプリは、フードエリアやトイレの場所が分かる会場マップや各ステージのタイムテーブルを簡単に確認できる。加えて、気になるアーティストをまとめた自分だけのマイタイムテーブルを作成できるなど非常に優れている。
「きれいな環境とマナーが良くモラルの高い参加者が誇り」とフェスの広報担当である上見遥香氏は語る。会場内で財布を落としてしまった観客が半ば諦め気味でインフォメーションセンターに問い合わせたところ、中身もそのまま財布が戻ってきたという事例は少なくないそうだ。また熱中症などで気分が悪くなってしまう観客がいると、周りの観客同士で協力して助け合う姿もしばしば見られる。参加者には若者だけでなく、14年前から長年参加し続けるファンもいる。「長い間、主催側やアーティストだけでなく、観客と共に作り上げてきたことが一番の魅力」だという。
今年も8月2~4日に「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」の開催が決定している。出演アーティストとタイムテーブルはともに発表済み、7月13日からはすでにチケットの一般発売も始まっている。大自然の中、仲間と共に最高の音楽で盛り上がる時間は、至福のひと時であること間違いない。      (大橋真葵子)