私は92年生まれでいわゆる「ゆとり世代」だ。今、それに続く新たな世代観が話題になっている。「さとり世代」だ。「さとり世代」とはバブル崩壊後に生まれ、不況の中で育ってきた世代を指す。浪費を嫌い高望みをせず、質素と手軽さを重視する傾向を持つという。

私はこの「さとり世代」という言葉から、自分たちの幸福の限界を「さとって」しまった若者の悲しみを感じる。不況の中で大きな夢を持つことが許されず、可能な範囲での幸せを強いられる。経済成長を止め、バブルをはじけさせ、私たちを「さとらせた」のは大人たちだ。一方で彼らは今の若者に「夢がない」「個性がない」と大鉈をふるう。

インターンシップの情報が増えてくる6月。今後の人生を考え始める時が来る。その就活の命運を握るのも大人たちだ。給料や職場環境など就活で重視するものはさまざまである。しかし、いずれ「大人」になる就活生に「次の世代の人間にどのような日本を残せるか」という意識があってほしいと思う。限界と現実を「さとった」私たちだからこそ、次の世代に「さとらせない」努力をするべきだ。そしてその努力が大人たちに対する無言の抗議となることを願う。   (柚木秀也)