講演中に笑みをこぼす栄和人氏(左)と吉田沙保里選手(右)

吉田沙保里選手も登壇 世界最強のゆえん語る

慶應丸の内シティキャンパスが主催する夕学五十講「世界最強の女性を育てて~挫折からの復活」が先月14日、東京・丸ビルで開催された。今回は、至学館大学レスリング部監督の栄和人氏が講師を務めた。栄氏は女子レスリングの吉田沙保里選手を五輪3連覇、国民栄誉賞受賞まで導いたコーチである。同講演で自身の経験と共に、吉田選手との厳しい道のりを語った。
逆境を跳ね返す真の強さ
アテネ五輪、北京五輪で金メダルを連続獲得した吉田選手だが、ロンドン五輪の目に見えないプレッシャーは壮絶なものだったという。五輪前にロシアのワレリア・ジョロボワ選手に敗れた不安や緊張から、試合前は連日に及ぶ寝不足が続いた。「誰にでも訪れる試練が心の強さを確かめてくれる。負けた時にどう立ち上がるかが重要だ」と栄氏は語る。栄氏も現役時代、ロサンゼルス五輪選考落ちという悔しさや試合前の緊張と不安を経験してきた。そのため、優勝した吉田選手の笑顔を見た時は涙が止まらなかったという。
後半では吉田選手も登壇し、受講者の質問に答えた。質疑応答の中で吉田選手は、「目標と夢、それが決まれば仲間と共に走るだけ。妥協は許されない」と、意志を貫く大切さを説いた。最後に、勝ち取った3つの金メダルと国民栄誉賞受賞記念の13㍉の純金パールのイヤリングを披露し、講演は締めくくられた。