サークルでもバイトでもなく、NPOで活躍する塾生。3回にわたり、彼らの姿を取り上げる。活動内容や社会全体の課題、団体として目指すものについて話を伺い、NPOで活動することの魅力に迫る。

農業を架け橋とした地域交流

農業を通じて若者と社会をつなぐ活動をしているNPO団体がALPOだ。2年前に発足した団体で、まだ定まった活動はない。今まではインドネシアで実地調査をし、持続可能なアブラヤシ産業のあり方を考えることを目的としていた。今年度は7人で活動を行っており、うち慶大生は2人。3年目となる今年は、地域密着型の活動に重点を置く。地方の農家や地域振興課へ現地調査で知り合った方々の協力のもと、若者と農業に携わる人との交流会を実施。さらに都会に住む若者に農業体験の場を与える活動も視野に入れている。

「親元を離れて暮らしているため、食べ物の産地などは多少気にしていたけれど、特に農業に関する知識があるわけではなかった」と語るのは、ALPOのスタッフ、折本隼太さん(政2)。大学入学までの10カ月を利用し、被災地でボランティア活動をしていた。そこで知り合った上智大生に声をかけられたことが、活動を始めたきっかけだ。

「自分を形成する基本となる食。農業を専門的に学んでいなくても、私たちは食を通じて自分を豊かにするか貧しくするかを自分で選ぶことができる。食べ物を作ることは人間を作ること。素人である私たちでも、農業について考えられることがあるのではないか」。そのような考えから、折本さんは1年以上にわたって活動を続けている。

ALPOが最終的な目標としていることは、人とのかかわりを通じて、都市部で住む若者に地域単位のコミュニティの重要性を感じてもらうこと。農業を通じてそのための手助けをしたいと考えている。

最後に、「人と関わることが自分にとってプラスになるということを常に実感している。今後も人と関わるとき、コミュニティの規模に関係なく、自分が直接関わっていきたい」と熱く語った。       (岡庭佑華)