就職先の業界に変動なし
学生部就職・進路支援担当によると、昨年度慶大学部卒業者・修士修了者7981人のうち就職者は5322人であり、1308人が大学院に進学した。就職率は昨年に比べわずかに低下したが、全体としては大きな変更はなく堅調であった。(データは3月31日時点のもの。就職率・進学率ともに進路未報告者を除いた数値) (在間理樹)
昨年度の就職状況は堅調であった前年と同様の結果となった。慶大学部卒業・修士修了者数は7981人。うち、就職者数は5322人で全体の68・8%。これは昨年度より0・4ポイントの低下だ。大学院への進学者は1308人で16・9%。昨年度より1・3ポイント増加した。就職先を業界別にみると、人数は上位より製造業、金融・保険業、情報通信業、サービス業が大半を占めている。割合はそれぞれ15%、14%、12%、9%となっており、業界別の就職人数、割合に大きな変化は見られない。また今年度は地方公務員が増加しており、不況を背景とした学生の安定志向がうかがえる。
就職先企業上位21社(表参照)を見ると、昨年に比べソフトバンクや楽天などの情報通信業界が台頭していることがわかる。例年の特徴は金融・保険業界や商社が多いことであり、今年もその傾向は変わらなかった。今年度の就職状況について学生部の就職・進路支援担当の佐藤吾郎氏は「知名度の高い大企業への応募が集中しているが、知名度は低くても優良企業は多く存在する。視野を広げて幅広く企業や業界を選んでいくことが必要だ。知名度の高い企業だけを受けるのはリスクが高い」と話す。また、活動の拠点を世界に移しているグローバル企業を希望する学生が増えており、とりわけ商社への人気が高まっているという。
企業が学生に求めていることとしては、「コミュニケーション能力、自主性、知的能力」などが挙げられる。慶大生が就活に強いと言われるのはこれらの能力を兼ね備えている人が多く、特にコミュニケーション能力に長けているからだと佐藤氏は分析する。
また「学生生活が充実している」と感じる学生の方が、就職活動の結果に満足する傾向もあるという。佐藤氏は「学業はもちろん、サークルやボランティア、アルバイトなどの課外活動を積極的に行い、学生生活を充実させることも就活に向けての準備として重要だ」と話す。
再来年度から就活の開始が3月になることに関しては、「大きな影響があると考えられる。留学の時期と就活の時期がずれることで留学がしやすくなることや学生の勉強にかける期間が長くなるため、メリットは大きいだろう」と述べた。