例年にない盛り上がりを見せている今季の東京六大学野球は、優勝争いも近年にないほどの大混戦となった。現在、早大が全勝で首位、慶大と明大がそれぞれ2敗で追い、3大学に優勝の可能性が残されている。慶早戦で慶大が早大に連勝することが、慶大優勝の第一条件(優勝決定戦の詳細は後日発表)。5季振りのリーグ優勝は、慶早戦にかかっている。この記事では両校のチームを分析して、慶早戦の行方を追ってみたい。
早大は投打にわたって圧倒的な力を誇っている。投手では須田、斎藤佑の両先発がともに防御率0・50未満、与四死球が4ずつと抜群の安定感がある。野手では泉、田中幸が打率4割を超え、3割以上の打者が5人と好調だ。しかし、立大戦で斎藤佑を出さざるを得なかったようにリリーフ陣に若干の不安を抱え、チーム本塁打が3本と少ないという面もあり、必ずしも万全であるとは言えないだろう。
慶大は法大戦でリーグ戦通算25勝のエース・加藤と今季はリリーフの相澤に復調の兆しが見えたのが光明だ。両者とも昨年の早大戦で好投している。早大の野手はほとんど昨年と同じであるだけに期待は大きい。野手陣は今季2本の満塁本塁打を放っている佐藤翔、1年生ながら中軸を打ち2本塁打6打点を挙げている青山を中心に、勝負強さが目立っている。立大1回戦の6者連続出塁、法大2回戦の5連打など1イニングに集中打を浴びせているのが特徴といえるだろう。また、打席数は少ないながら、9番の加藤、中林が打率5割を超えているのも心強い。1番にチーム首位打者の青池が座っているため、下位打線の出塁が大量得点につながる。
個人の力、連敗しなければいいという戦術面では早大が優位であるといえるだろう。しかし、チーム力、ここ一番での集中力など、慶大が連勝するための要素は十分に揃っている。慶大は是が非でも連勝して1951年春(慶、早、立)以来の3大学による優勝決定戦に希望をつなぎたいところだ。