慶應塾生新聞は2014 年7 月号をもって500 号を迎えます。それに伴い、今月から塾生新聞500 号を記念した企画を取り上げていきます。第一弾は、過去の名物企画である「記者の眼」の復活です。

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社会をリードする人材育成のため、福澤諭吉により設立された慶應義塾大学。だが、近年ではおとなしい学生が多くなったという声が聞かれるのも事実だ。そこで今回は、現代の塾生がどのような道に進もうとして、いかなる将来を描いているか知るために、アンケート調査を行った。

まず、第1問「将来の夢はありますか」という質問に、61%(50人)が「はい」、29%(24人)が「いいえ」、11%(9人)が「わからない」と回答した。第2問、「現在、日本社会に希望を持っていますか」という質問には、44%(37人)が「はい」、32%(27人)が「いいえ」、24%(20人)が「わからない」と回答する結果が出た。
その中でも注目したいのは、第1問で「はい」と答えた50人のうち、第2問で「はい」が58%、「いいえ」が18%なのに対し、第1問で「いいえ」と答えた24人のうち、第2問では「はい」が17%、「いいえ」が58%と逆転していること。この結果から、将来の夢を決めている人には社会を前向きに捉えている人が多いことがいえそうだ。

第1問で「はい」と答えた人には、将来の夢を伺った。目立ったのは、マスコミや教育の分野。特に教育の分野では、「高校教員として生き抜く力を持った子どもたちを育てる」(文4女)や「日本の高等学校英語教育に大革命を起こすこと」(文1男)など、教育への熱意を感じる夢が目立った。
また、スポーツや音楽など自分の好きなことに携わっていたいという声も多かった。歌手(文1女)や俳優(法1男)という夢も挙げられていた。

あらゆる夢に共通しているのは、社会や人と関わっていたい、社会に貢献したいという思いだ。「科学の楽しさを伝える人間になる」(理3女)や「日本経済を動かせる人間になる」(商2男)といった野心的な夢もあった。
さらに世界を見据えて行動を起こそうとしている人もいる。「世界中で『日本が好きだ』という人を増やすこと。そのためにグローバルな日本企業に就職し、世界で活躍したい」(環3男)というような国際社会へ目を向けた夢もある。

多くの人が将来の仕事の夢を語る一方で、幸せな家庭を夢見る人も多い。中には「幸せな家庭を築き、また周りの人を幸せにしていくことで日本の社会に貢献する」(文2女)と語る人もいる。このように、身近な人を幸せにすることが社会に貢献する第一歩なのかもしれない。

また、第1問で「はい」と答えた人の学年別割合は、1年生から4年生までそれぞれ54%→53%→69%→100%と推移した。1年生の時点で夢が見つからずとも、慶大で学びさまざまな人と関わる中で最終的に夢が定まるのだろう。
塾生自身が社会を作る立場にあるという自覚の目覚めは、まず将来の夢を持つことにあると言えよう。  (長屋文太)

調査方法:2013年2月時点で在籍する全塾生を対象に実施し、WEB上で回答を募集。調査期間は2月22日~3月5日。有効回答数は84人だった。その学部内訳は、文学部38人、法学部12人、経済学部10人、商学部9人、理工学部8人、総合政策学部3人、環境情報学部2人、薬学部1人、看護医療学部1人。また、学年の内訳は1年生33人、2年生30人、3年生13人、4年生7人、6年生1人だった。なお、調査数の数字はすべて小数第一位を四捨五入した。