「献血にご協力お願いします」
キャンパスに時々訪れる献血バス、あるいは街中でこんな呼びかけを聞いたことがある人は多いだろう。
1日に約3000人の命を救う
ここ10年で10代、20代の献血者数が約40%減少している。針が怖い、なんとなく抵抗があるといった理由で献血をしたことがない人もいるだろう。毎日、血液を必要としている患者さんがいるという事実を私たちは知っているだろうか。献血の目的やその重要性について神奈川県赤十字血液センターの橘川和彦さんにお話を伺った。
輸血用血液はがん患者をはじめ、病気や事故の患者に使用されており、全国で1日に約3000人がその輸血によって命を救われている。それを支えているのが1日約1万5000人による献血だ。
必要な血液型は病院からのオーダーで一日のうちでも目まぐるしく変わる。朝はA型の血液が不足し、昼にはB型が足りなくなるなど、ある型の血液が足らないというのは日常茶飯事なことだ。「『献血にご協力ください、~型の血液が足りません』という呼びかけは苦しんでいる患者さんや家族の声そのものなのです」と橘川さんは語る。
献血の種類は主に2つある。血液中の全ての成分を採血する全血献血と、血小板や血漿といった特定の成分だけを採血し、体内で回復に時間のかかる赤血球は再び体内に戻すという成分献血だ。それぞれの採血の受付から終了までにかかる時間は、全血献血で約40分、成分献血で約90分だ。採血中はベッドに横になりテレビを見ることもでき、採血後は雑誌を読んだり自由に飲み物を飲んだりすることもできる。ちょっとした休憩がてらに訪れる人もいるそうだ。
「毎日血液を祈るように待っている人がいる。だから献血をする。それは、困っている人がいたらそっと手を差し伸べるのと同じことです。このような気持ちを行動に結ぶ人たちを増やしていくことが私たちの目標です」と話す橘川さん。冬場は患者さんが体調を崩しやすいのに加え、献血者も風邪をひいたり感染症にかかったりするため血液が大幅に不足するそうだ。体調が良いとき、友人や家族を誘って献血ルームや献血バスを訪れてみてはいかがだろうか。
また、輸血を必要といている患者さんの声は日本赤十字社のホームページから知ることができる。 (柳井あおい)