後期試験が終了し、春休みを迎えた2月。あっという間に季節は過ぎ、気づけばそろそろ学年が変わる時期だ。学年が変わるに先駆けて、各体育会やサークルでは引き継ぎを行っている。今回は應援指導部吹奏楽団の次期日吉責任者の2人にお話を伺った。
この1年を振り返ってみて「一言でいうと、忙しかった」と加藤玲さん(政1)は語った。時間的拘束も長く、慣れないことも多かったため、てんやわんやの1年だったと振り返る。それでも「非常に充実していた」と顔をほころばせた。 「應援指導部は特殊な環境。色々な人と関われて世界が広がった」と語るのは、田中駿亮さん(法1)。中高とは異なる環境で戸惑いもあったが、その分、協力し互いを高めあえたたという。
日吉責任者は主に1年生全体の面倒を見る統括ポスト。3年と4年は三田キャンパスだが、練習は日吉ということもあり重要な役割を担っている。田中さんは、「規律や上下関係がしっかりしている一方で、楽しむところは楽しむ。そういう姿を1年生に模範として見せたい」と意欲を露わにした。少し照れながら語る中に、尊敬されるような先輩を目指す姿勢がうかがわれた。
「自分から動くことが重要」
しかし、新年度への意気込みを持つだけではなく、この1年間の反省や後悔をもとに下級生を引っ張っていくのが先輩としての仕事だ。上下関係がしっかりしている分、自分の考えをうまく先輩に伝えられない時もあったという。「萎縮しすぎてはもったいない。時には自分から動くことが重要だ」と2人は口を揃えた。
中高の吹奏楽は演奏がメインだが、應援指導部の吹奏楽団は演奏だけではない。吹奏楽団の魅力を伺ったところ、「ドリル」を一番に挙げた。マーチングとも呼ばれ、曲に合わせてフォーメーション(隊列)を組む音楽のことだ。最初の頃は難しくて体がぶつかってしまうことが多く、なかなかうまくいかなかったという。それでも加藤さんは、「ドリルをやりたくて入った。1人の責任感は重いが、達成感は計り知れない。輪の中にいるのが心地よかった」と熱く語ってくれた。
應援指導部の吹奏楽団では演奏はもちろん、応援やドリルを通して多くのことを発信していける。渋谷公会堂という広い場で演奏できる楽しさやドリルの醍醐味、早慶戦で観衆を先導する応援など他団体では経験できないことが多くあるという。
最後に2人は「忙しさに囚われず、色々できることを楽しんでもらいたい」、「これが楽しい、頑張れるというのを見つけてほしい」と、来る新入生たちにメッセージを送った。 (武智絢子)